CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き(5)
デスクトップ仮想化「よくある質問と回答」(1/3 ページ)
設計・解析の現場でも、デスクトップ仮想化の一方式であるVDIに対する関心が高まっている。連載「CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き」では、VDIの基礎解説や導入メリット、運用ポイントなどを分かりやすく解説していく。最終回となる第5回では、デスクトップ仮想化「導入までの流れとポイント」でピックアップできなかった、よくある質問とその回答について紹介する。
最終回では「デスクトップ仮想化『導入までの流れとポイント』」【前編】/【後編】でピックアップできなかった、よくある質問とその回答について紹介したい。
よくある質問と回答【1】
質問:デスクトップ仮想化では、ネットワーク設計をどう考えればよいのか?
回答:導入検証時に測定したネットワーク帯域の3分の1程度を1人当たりの平均帯域とし、ユーザー分のネットワークを算定。これを基準にネットワークを設計します。システムの段階的な導入の際にネットワーク環境を随時見直すのが現実的です。
デスクトップ仮想化システムでは、端末からの入力と仮想デスクトップからの画面出力情報のみが画面転送プロトコルでやりとりされる。このため、デスクトップ仮想化システムのパフォーマンスは画面転送のパフォーマンス、つまりネットワーク環境の優劣に大きく左右される。
十分なネットワーク帯域の確保には言わずもがな多大なコストが掛かる。コストとのバランスを取るために検討すべき要素は、1.画面転送プロトコルにより増加するトラフィックと、2.従来ファイル転送に利用されていた減少するトラフィックの2つである。それぞれのトラフィックの増減は非同期で流動的であるため、机上での検討は困難だ。このため、後述の指標を基に概算を行い、それを基準としてデスクトップ仮想化システムを導入し、トラフィック状況により帯域を増減するのがよい。
ネットワークで検討すべき要素は帯域だけではない。3.ネットワークの遅延もユーザーの操作感に多大な影響を与える。こちらについてはなかなか小手先での対策は困難であるため、導入の前段階で十分な検証を行っておくことが肝要だ。
以下、これら3つのポイントについて説明する。
1.画面転送プロトコルにより増加するトラフィック
画面転送に必要なトラフィックは、仮想デスクトップの導入検証時に測定が可能だ。ちなみに、3D CADの利用であれば1ユーザー当たり20~30Mbpsのネットワーク帯域があれば満足できるだろう。では、デスクトップ仮想化システムを満足に動作させるためのネットワーク帯域をどう算出すればよいのだろうか?
画面転送プロトコルのトラフィックは、画面のスクロールを伴う図面参照やCADモデルの回転/移動/拡大縮小などの操作のように大きく画面が描き換わるタイミングで激増する。文字や数値を入力するような操作では微少である。システム全体からユーザーの操作を見た場合、複数のユーザーが多くのトラフィックを発生するようなアプリケーション操作を同時に行うことは少ない。通常、トラフィックの多い操作を行うユーザーと少ない操作を行うユーザーは混在し、入れ替わる。デスクトップ仮想化システムの事例から導出した1人当たりの平均帯域は、導入検証で測定した利用帯域の約3分の1である。従って、7~10Mbps×ユーザー分のネットワーク帯域を基準とし、状況によって増減させるのが効率的な導出方法である。
2.従来ファイル転送に利用されていた減少するトラフィック
既存のワークステーション環境では、ファイルサーバと端末間でCADデータのダウンロード/アップロードのために数百MBから数GBにも上る非常に大きなトラフィックが不定期に発生している。また、CAEシステムが吐き出すデータをポスト処理する際には、ものによってはTB単位のデータ転送が発生する。
デスクトップ仮想化システムとCADデータ/CAE演算結果を同一のデータセンター内に配置する場合、これらのトラフィックはデータセンター内で完結し、端末周りのLANやWANに流れることはない。このトラフィック減少は、常時発生する画面転送のトラフィックと相殺されるどころか大きく減少することもある。
3.ネットワークの遅延
デスクトップ仮想化システムを利用する際、デスクトップの操作感に大きな影響を及ぼすのがネットワークの遅延だ。遅延が大きいとユーザー操作と画面描画にギャップが生じ、結果的にユーザーにストレスを与えてしまう。経験則では100ms以上のネットワーク遅延が発生した際、ユーザーからクレームが入る。デスクトップ仮想化システムと端末のどちらも国内にある場合、ネットワークの遅延に起因する問題はほぼ生じない。問題は“グローバルにおける利用環境”で発生する。特によくあるのが、国内のデスクトップ仮想化システムと中国の端末の組み合わせだ。この解決のためにはネットワーク最適化装置の導入がよく話題に上がるものの、効果は極めて限定的であり問題の解消には至らない。
抜本的な解決のためには、回線の見直しが必要になる。回線の選択肢がない場合や回線の見直しが困難な場合では、デスクトップ仮想化システムを分割し、遅延の大きな国にデスクトップ仮想化システムを分散配置することも視野に入れざるを得ない。
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CAD、CAE環境をVDIへ移行するための手引き
設計・解析の現場でも、デスクトップ仮想化の一方式であるVDIに対する関心が高まっている。連載「CAD/CAE環境をVDIへ移行するための 手引き」では、VDIの基礎解説や導入メリット、運用ポイントなどを分かりやすく解説していく。◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[デスクトップ仮想化][VDI][CAD][CAE][導入][運用][移行]
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