個人ユーザーを中心に人気を集めるオートデスクのクラウドベース3D CAD「Fusion 360」。ホビーユースだけではなく、本格的な設計業務でも活用できるというが、果たして本当なのか? “ママさん設計者”として活動する筆者が、現場目線でFusion 360の有効性や活用メリットを探る。
非営利の個人や教育機関であれば無償、法人でも月額数千円から利用できるAutodesk(オートデスク)のクラウドベース3D CAD「Fusion 360」。2013年のリリース当初の「個人が無償で使える本格的な3D CAD」というキャッチフレーズのインパクトは絶大で、デジタルファブリケーションの流れに乗ったメイカーやモノづくり愛好家、学生などが、Fusion 360の普及をけん引しました。
この一連の盛り上がりは、それ以前から存在していた無償3D CADと比較しても著しく、3Dプリンタブームも追い風となり、「3D CADでモノづくりに挑戦したい」と考えていた彼らの心をつかみました。また、オートデスク製品というブランド力、それを無償/安価に使えるということも、普及を大きく後押ししたことでしょう。
そういう意味でFusion 360は、これまで専門家のツールであった3D CADを身近なものにしたといえます。また、Fusion 360をきっかけに3D CADに関心を持ち、設計者の道に進む人、モノづくりに興味を持つ人が増えることを考えると、社会的にも大きな意味をもたらしたといえるでしょう。
ただ、メイカーや個人のモノづくり愛好家などが、Fusion 360の普及をけん引してきたという事実から、
Fusion 360という3D CADは、結局のところ趣味や学習用レベルの廉価版で、製造業の現場、本格的なモノづくりで使うものではない
という漠然とした先入観を持たれているのも確かで、筆者もそんな1人でした。
» 課題解決に役立つ「3D CAD」をどうやって評価・選定すべきか?
» 何のために3D CADを導入するのか――あらためて、その目的を明確に
» 失われつつある“設計力”を回復できる職人気質の3D CAD「Creo」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
豊富なホワイトペーパーの中から、製品・サービス導入の検討に役立つ技術情報や導入事例などを簡単に入手できます。