なぜこのようなユーザーインタフェースが存在するのか……。駅シリーズの第2弾、前回の「京急蒲田駅」に続き、今回は方向音痴の筆者が「これはアカンやろ!」と感じた「JR渋谷駅」の方向表示板のワナについて取り上げます。“絶対に避けるべき”悪いユーザーインタフェースから学べることがたくさんあります。
前回のコラムでは、「京急蒲田駅の迷宮」と題して、同駅の“通常のロジックを超越したユーザーインタフェース”について取り上げました。
汎用(はんよう)系機器とは異なり、組み込み系製品にはユーザーインタフェース用の表示スペースが十分ではなく、とても設計に苦労している印象があります。例えば、プリンタのエラーや状態表示パネルの大きさは、カマボコ一切れ分もなく、最少の文字数や記号であらゆるエラー、操作手順を表示しなければなりません。このミニマル性が故に、組み込み系機器のユーザーインタフェースは、設計者の“究極のセンス”が試されているといえます。ユーザーインタフェースのセンスを磨く意味で、前回、京急蒲田駅の迷宮を取り上げました。
京急蒲田駅のユーザーインタフェースは、「常識的にはこのようになっているはず」という通常の人間のロジックを超越した“不条理”に満ちていましたね。今回も「駅のユーザーインタフェース」について取り上げますが、今回のネタである「JR渋谷駅」は、不条理ではなく“不親切”と“意地悪”が満載です。なぜ、このようなユーザーインタフェースになったのか? 渋谷駅に降りるたびに、不思議に思います。組み込み系のユーザーインタフェースとして、このタイプは“絶対に避けるべき”です。
前回の冒頭でも述べましたが、大学で筆者は本来の“営業品目”であるソフトウェア工学だけでなく、少し(かなり?)専門外の「ユーザーインタフェース」も担当しています。街を歩いていて、「良いユーザーインタフェース」や「悪いユーザーインタフェース」に出会うと携帯電話のカメラで撮影し、それを授業で紹介しているのです。
さて、今回取り上げる駅の行き先案内表示は、「駅の機能」と「人間(特に、駅の知識がない人間)」を結び付ける重要なユーザーインタフェースです。日本で3番目に方向音痴である筆者には、駅の案内表示が分かりやすいかどうかは死活問題です。筆者にとって「最悪のユーザーインタフェース」が、前回の京急蒲田駅の迷路でした。実は、鉄道系でもう1つ「これも絶対にダメ、京急蒲田駅と同じぐらいアカンやろ」というユーザーインタフェースがあります。それがJR渋谷駅の方向表示板です。何がどうダメなのか、個人的な不満と画像を交えて説明します。
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