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» 2019年01月07日 09時00分 公開

組み込みエンジニアの現場力養成ドリル(12):パニック間違いなし!? 難易度高めな迷宮「京急蒲田駅」がUI的に絶対NGな理由 (1/2)

日常生活のありとあらゆるモノから、ユーザーインタフェース(UI)の“良しあし”を学ぶことができます。日ごろ学生たちにユーザーインタフェースに興味を持つよう指導する筆者が「これは絶対にアカンやろ」と思わず叫んでしまったのが「京急蒲田駅」です。ユーザーインタフェースの観点だけでなく、機能構造の意味でも“絶対NG”な京急蒲田駅から学べることとは何か、一緒に考えてみましょう。

[山浦恒央 東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士),TechFactory]

はじめに

 人員削減の波は大学教育にまで押し寄せています。例えば、新しい授業や科目を開講する場合、学外からその道の専門家を招聘(しょうへい)するのではなく、学内の既存の教員でこなすのが基本です。エンジニアリングの基本概念である「現在の人、モノ、金で、何とか問題を解決する」を工学部自らが実践しており、「先生方も少しぐらい専門外の授業なら、勉強して担当してください」という論理です。

 筆者の専門はソフトウェア工学、品質制御、検証技法で、授業は「ソフトウェア設計と検証」「信頼性工学」「開発プロジェクト管理」「ソフトウェア分析とモデリング」「テクニカルドキュメンテーション」を担当していますが、これ以外の授業として、「組み込みOS特論」「技術英語」「ユーザーインタフェース概論」も“営業品目”に入っています。今回は「ユーザーインタフェース」をテーマに取り上げます。

日常のユーザーインタフェース

 授業を履修している学生に対して、筆者は「この授業の5カ月間だけでいいので、通学路の途中や日常生活で目にするあらゆるもののユーザーインタフェースに興味を持つこと。例えば、電車の吊り広告や雑誌の広告、温水洗浄便座のスイッチの種類や配置、テレビCM、コンビニに設置してあるATMの画面遷移など、『なぜ、そんな配列やデザインになっているか』を10秒でいいので考えること」と言っています。

 筆者も「良いユーザーインタフェース」と「悪いユーザーインタフェース」の例を探し、携帯電話のカメラで写真撮影して授業で紹介しています。そんなある日、強烈な「これは絶対にアカンやろ」というユーザーインタフェースを見つけて、衝撃を受けました。それが「京急蒲田駅」です。

京急蒲田駅の概要

 京浜急行電鉄(以下、京急電鉄/京急)のWebサイトから引用した路線図を以下に示します(図1)。右側の真ん中付近にあるのが、今日のテーマである京急蒲田駅です。

 京急蒲田駅は、“品川−横浜間の主要通過駅”であり、“羽田空港線の始発駅”であるため、京急電鉄の中でも圧倒的に重要な駅だと思います。特に、羽田空港へ直接乗り入れているため、海外からの利用客が非常に多く、乗客の半分は大きな旅行かばんをゴロゴロと引いている印象があります。毎日、通勤する乗客だけでなく、初めて京急蒲田駅を利用する乗客が多いため、駅構内の構造や案内図には、

  • 日本語が母国語でない人にも理解できること
  • シンプルで分かりやすいこと

が求められます。

 筆者は京急のヘビーユーザーで、自宅から大学へ通勤する際、「新逗子駅」から「泉岳寺駅」まで利用しています。ある日、途中の京急蒲田駅に降りて、ビックリしました。

図1 京急電鉄の路線図(京浜急行電鉄 Webサイトより転載) 図1 京急電鉄の路線図(京浜急行電鉄 Webサイトより転載)

1つのホームで正反対に向かう電車が発着する

 4番線ホームの「行き先表示」と「駅名表示看板」を、画像1画像2に示します。

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