Armといえば組み込みシステムにおける「一強」とも呼べる存在ですが、モバイル機器や産業機器などにおけるAI実行が一般化する時代において、その地位は揺らぐのかもしれません。
ArmといえばCPU IP「Cortexシリーズ」がスマートフォンから車載機器、産業機器まで幅広く使わており、組み込みシステムにおいて高いシェアを持つ立場にあります。数年前まではMPISやARC International、Tensilicaといったライバルも存在しましたがArmに匹敵するランアップとサポートを提供するには至らず、Armの一強(やや大げさかもしれませんが)ともいえる現在の隆盛につながっています。
そのArmは2016年7月、ソフトバンクに買収されています。そして2017年12月には、Armを買収したソフトバンクの副社長である今井康之氏(現、代表取締役 副社長執行役員 兼 最高執行責任者)が同社事業戦略におけるArmの役割について説明しています(Arm買収から1年半、明確になったソフトバンクのIoT戦略)。
今井氏は「2035年までに1兆個のチップを供給する」という孫正義氏の発言を紹介しながら、「ソフトウェア商社から通信と移り変わってきたソフトバンクの軸足は、現在、AIとロボット、そしてIoTに向かっている」と事業転換期において半導体IPの企業を持つことが重要であるとしました。
そのAI(現時点においてAI=ディープラーニングと考えてよいでしょう)ですが、エンドデバイス側にもなんらかのAI機能を持たせようという機運が高まっています。AIの実行にはデータの取得と処理、それに反映というプロセスを経ますが、データの量は相当な量になります。そこでデータをサーバやゲートウェイだけで処理するのではなく、エンド側でも処理させるというのは理にかなった考え方です。
そこで各社は「AIチップ」の開発に血道を上げることになります。
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