製造業の組み立てラインには、アンドンシステムや信号灯といった作業トラブルを知らせる仕組みが広く導入されている。クボタの枚方製造所はこの「お知らせ」を安価に高度化し、作業効率を劇的に改善した。現場主導でなされた、その取り組みを紹介する。
製造業の組み立てラインにおいて、材料待ちや設備故障、停電などのトラブルとその対応時間削減は大きなテーマである。もちろんこうした事態は起こらないに越したことはないが、現実問題として完全な根絶は困難であり、そのため、アンドンシステムや信号灯といった、「作業のトラブル」を知らせる仕組みが広く導入されている。
しかし、これらの仕組みは「トラブルの発生」を管理者へ知らせることを主目的としており、トラブルの詳細な中身までは知らせてくれない。
農機具や建設機械の大手であるクボタの枚方製造所では、ミニバックホー(小型油圧ショベル)の製造ラインにアンドンシステムとトラブル通知用の呼び出しボタンとコールベルを導入しているが、問題が起きたら「取りあえずボタンを押してベルを鳴らす」ことが常態化し、多い日には1日70回以上のベル音が鳴り響いていた。このベル音も大きいが、対応が遅くなると「カンカンカン」と工場内を消防車が走っているような、強烈な音に変わる。
仮に1日の作業時間が8時間だとすれば、1時間当たり8回以上、約8分に1回以上の割合で作業責任者が呼び出され、対応している状況は決して望ましい姿ではない。この呼び出し回数では、もはや作業責任者も1人では対応できず、複数人での担当が常態化していた。ミニバックホー組み立てライン担当の奥畑翔吾氏(建設機械製造部 製造2課 作業長)も事態を問題視しており、「作業現場へ人を呼ぶ」ことの省力化を図り、スマートな生産が出来ないかと苦慮していた。
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