デンソーとFLOSFIAは、酸化ガリウムパワー半導体の開発で協業すると発表した。車載応用に向け開発を進める。
酸化ガリウムパワー半導体の開発を手掛けるFLOSFIAとデンソーは2018年1月4日、コランダム構造酸化ガリウム(以下、α-Ga2O3)の車載応用に向けた共同開発を開始することを決定したと発表した。さらに、デンソーがFLOSFIAのシリーズCの新株を引き受ける資本提携を実施した。
FLOSFIAは京都大学発のベンチャー企業である。2015年に「世界最小」(同社)とするオン抵抗0.1mΩcm2のSBD(ショットキーバリアダイオード)試作データを発表し、2016年に新規p型半導体α-Ir2O3、2017年9月にDC-DCコンバーターでの動作実証に成功するなど、α-Ga2O3パワー半導体の開発を精力的に進めてきた。2017年10月の「CEATEC JAPAN 2017」では、2018年に量産を開始する予定のα-Ga2O3のSBDを展示した。
一方のデンソーは2007年からハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)向けに、「パワーコントロールユニット(PCU)」を提供している。PCUにおいてエネルギー効率を高めるためには、電流を直流から交流に変換する際のエネルギー損失を抑える必要がある。そのため、デンソーは以前から低損失パワー半導体の研究開発に取り組んできた。
FLOSFIAとデンソーは、「α-Ga2O3の車載応用に向けた共同開発を通じ、自動車の電動化におけるキーユニットであるPCUの技術革新を目指す」とコメントしている。
さらに、FLOSFIAは2018年1月4日、第三者割当増資を実施し、総額約8億円のシリーズCラウンドの資金調達を完了したことも併せて発表した。資金調達引受先はデンソーの他、三菱重工業、Mitsui Kinzoku-SBI Material Innovation Fund(三井金属鉱業とSBIインベストメントによるプライベートファンド)、未来創生ファンド、Eight Roads Ventures Japanである。
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