大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
AtmelとMicrochipに見る、半導体企業M&Aの難しさ(3/4 ページ)
Microchipの「アノ癖」がプラスに
ということでいつものようにここまでは長い枕で、本題はここからとなる。
買収直後はいろいろとモメていたAtmelとMicrochipであるが、最終的にこうした問題は解決、まず残ったAtmelの従業員はMicrochipに移籍された。これと並行して、製品ラインのAtmelへの移管も進んだ。ただ従業員にしても製品ラインにしても、一筋縄ではいかなかった模様だ。
これは当然の事で、例えば人員についても当初はAtmelの事業部というか指揮系統に近いものがいったん丸ごとMicrochipの下に収まり、そこから序々に分解され、既存のMicrochipのラインに収まるといった形になったらしい(日本などはもう少し簡単だったらしいが)。
2015年末におけるAtmelの従業員数は約5000人。Microchipの方は2015年6月に9449人、2016年6月に9766人だったのが2017年6月には12656人に増えている。単純に言えばAtmelの従業員のうち2000人ほどが退職した形になるが、それでも9000人がいきなり12000人に増えたら、既存組織の枠組みで対処するのは難しい。要するに会社の買収は終わりつつも、従業員の移管にはさらに1年ほど掛かった形だ。
もっと面倒なのが製品やサービス・サポートである。もともとMicrochipという会社は知られる通り、(乱暴な言い方ではあるが)製品を乱発する会社である。8bit MCUだけとってもPIC 10/PIC 12/PIC 14/PIC 16/PIC 18と5つのアーキテクチャがあり、相互に何の互換性もなく、しかも各ファミリーで機能や特徴がオーバーラップしているものが少なくないという、製品選択の際には非常に泣きたくなる事で有名(?)だが、逆に廃番になる製品が少なく、乱発しながらも製品をきちんとサポートしているのはいかにも組み込み向けである。
それもあって、既存のPICの製品ラインにSAMシリーズをはじめとするAtmelの製品が加わっても、あまり混乱は生じなかったというか(もともと混乱しているので大した問題にはならなかったと言うべきか)、まぁMicrochipの製品ポリシーがうまく作用した感はある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収したい 自動車業界にも有効なCO2削減アプローチ -
製品資料
[株式会社 Green AI] 自動車業界の脱炭素はなぜ進まない? 実務で直面する“壁”の乗り越え方 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:製造現場にフィジカルAIをどう実装するか――電子版2026年9月号
-
2
ものづくり白書2026を読み解く
-
3
機械・電気設計の連携はなぜうまくいかない? 手戻りを防ぐ協調設計の進め方
-
4
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
5
Waymoの自動運転技術に迫る
-
6
プリント基板設計の課題を乗り越えた成功事例集
-
7
IMUを活用してロボットの位置推定を強化、より高精度なナビゲーションが可能に
-
8
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
動き出したファナックの「フィジカルAI」
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー