企業動向を振り返る 2017年6月版
「東芝メモリ」に待ち受ける2つの困難
東芝債務超過の切り札として設立された「東芝メモリ」ですが、その売却には2つの困難が待ち受けています。
東芝は債務超過解消の切り札として「メモリ事業の分社化と売却」を計画し、2017年4月1日に新会社「東芝メモリ」が設立されました。そして、その売却先として、2017年6月21日に産業革新機構とベインキャピタル、日本政策投資銀行からなるコンソーシアムが選定されました。
選定に関しては「各買い手候補者からのご提案について、東芝メモリの企業価値、国外への技術流出懸念、国内の雇用の確保、手続の確実性等の観点から総合的に評価し、産業革新機構などからなる同コンソーシアムの提案が最も優位性が高い」と評価基準を語り、「2018年3月末までの売却完了を目指す」としましたが、速くも暗雲が立ちこめています。
売却完了を阻む2つの問題
大きく分けて問題点は2つあります。1つは売却先として優先交渉先としたコンソーシアムも一枚岩ではなく、調整に時間がかかっていること。売却先選定時(2017年6月21日)には、同年6月28日に開催される定時株主総会までの合意を目指すとしていましたが、同年7月18日の時点ですら合意は発表されていません。
もう1つの問題、Western Digital(ウエスタンデジタル、以下 WD)による売却差し止め請求はより深刻です。東芝はメモリ事業についてサンディスクと共同で事業を行っていましたが、サンディスクがWDに買収されたことから、メモリ事業は東芝とWDの合弁契約に基づく事業として運営されてきました。
そしてメモリ事業の分社化と売却に対してWDは「売却は共同出資事業契約に違反する」と主張し、国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所に仲裁申し立てを行いました。これに対して東芝は合弁契約に抵触しないと主張し、加えて、声明文の中でWDを「看過できない妨害行為を継続的に行っている」との表現で強く非難します。
WDによる申し立ては、WDが東芝メモリを有利な条件で買収するための揺さぶりという見方もありますが、東芝はWDの申し立てを無効であると判断し、産業革新機構らのコンソーシアムを売却先と選定して交渉を行っています。
完全に両者の主張は食い違っており、最終的な判断はICCでの仲裁に委ねられる可能性が高くなってきましたが、WDの最高経営責任者が来日して新たな買収提案を行うという報道もあります。ICCでの裁定が出るまでには通常1~2年の時間がかかるため、ICCの仲裁を待つと東芝が目標とする「2018年3月末までの売却完了」は遠のくことになります。そのため、急転直下、WDによる買収が成立する可能性も残されています。
データセンターやエンタープライズ向け需要からメモリ事業は好調で、渦中の東芝メモリも四日市工場へ総額約1800億円の投資を決定しています。現在の東芝グループで数少ない“金の卵”は誰の手に収まるのでしょうか。
エレクトロニクス関連企業動向 主要ニュース
2017年6月の企業動向(エレクトロニクス分野)
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[東芝、WDの「看過できない妨害行為」に対抗](/tf/articles/1707/20/news019.html#eejnews06_01)・
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[東芝の対抗措置は合弁契約に違反、WDが表明](/tf/articles/1707/20/news019.html#eejnews06_02)・
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[東芝マテリアルと京セラがセラミック部品で協業](/tf/articles/1707/20/news019.html#eejnews06_03)・
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[横河レンタ、新品の計測器販売事業に参入](/tf/articles/1707/20/news019.html#eejnews06_04)・
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[Qualcomm、新SnapdragonでIntelの牙城に参入](/tf/articles/1707/20/news019.html#eejnews06_05)・
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[シーメンス、メンター買収までの経緯を語る](/tf/articles/1707/20/news019.html#eejnews06_06)・
- eejnews06_01#
東芝、WDの「看過できない妨害行為」に対抗
東芝は2017年6月2日、メモリ事業の売却に関して声明を発表した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年6月2日掲載)
- eejnews06_02#
東芝の対抗措置は合弁契約に違反、WDが表明
「東芝メモリが保有するSanDiskとの合弁会社の出資持分を、東芝本体に戻す」との東芝の発表を受けて、Western Digitalはすぐさま、東芝の行為はWDの子会社であるSanDiskとの合弁契約に抵触するとの声明を発表した。(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年6月5日掲載)
- eejnews06_03#
東芝マテリアルと京セラがセラミック部品で協業
京セラと東芝マテリアルは2017年6月7日、窒化物セラミック部品の開発、製造に関して協業を行うと発表した(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年6月7日掲載)
- eejnews06_04#
横河レンタ、新品の計測器販売事業に参入
横河レンタ・リースは2017年6月12日、新品の電子計測器販売事業に参入したと発表した。まず、Keysight Technologiesの日本法人と販売店契約を結び、Keysight製品の販売を始めた(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年6月12日掲載)
- eejnews06_05#
Qualcomm、新SnapdragonでIntelの牙城に参入
Qualcommが、最新SoC(System on Chip)「Snapdragon 835」で、Intelの独壇場であるモバイルPC向けCPU市場に参入した。(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年6月7日掲載)。
- eejnews06_06#
シーメンス、メンター買収までの経緯を語る
米テキサス州で開催された「Design Automation Conference」において、Mentor Graphics(メンター・グラフィックス)の買収を2017年3月に完了したSiemens(シーメンス)が基調講演に登壇。Mentor買収に至る経緯と今後を語った。(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年6月23日掲載)。
- eejnews06_07#
約10年ぶり、ノキアが日本の民生市場に再参入
Nokia Technologiesがデジタルヘルスに特化したスマートデバイス製品群を携え、10年ぶりに日本のコンシューマー市場に参入する。一体、なぜ日本なのか(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年6月26日掲載)。
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