企業動向を振り返る 2017年3月版
アイに熱視線のエレクトロニクス、東芝の両翼を欠いた成長戦略
AIにエレクトロニクス関連各社も熱い視線を送っており、2017年3月は多くの企業から発表が相次ぎました。渦中の東芝も延期した決算を3月に発表する予定でしたが、監査法人との調整が終了せずに決算発表が2度見送られる事態に。
アイとエレ
これまでITに近しい存在と見なされていた、AI(Artificial Intelligence:人工知能)にエレクトロニクス関連各社が熱い視線を送っています。2017年3月にはエレクトロニクス各社よりAIに関する発表が相次いで行われました。
組織としてAI技術に大きくコミットすることを明言したのは米Intelです。AI関連事業を「Artificial Intelligence Products Group(AIPG)」として1つにまとめてエンジニアリングや研究開発、ソフトウェアを含む全リソースを投入し、AIPGのトップには買収したクラウドAI開発ベンチャー、Nervana SystemsのトップであったNaveen Rao氏を据えました。日本法人の江田社長も3月に行われたプレスカンファレンスにて、「データにまつわる全てに関わる“データカンパニー”になりたい」と発言するなど、AI技術に注目しています。
日本でも理研革新知能統合研究センター(理研AIP)と東芝、NEC、富士通がAI研究での連携を発表しました。具体的には4者がそれぞれに連携センターを設立するというもので、「理研と東芝」「理研とNEC」「理研と富士通という、3つの連携センターが設立され、ここでは基礎開発から実用化までの幅広い研究開発が行われます。理研AIPのセンター長、東京大学教授の杉山将氏は「FacebookやGoogleに勝つつもりで臨む」とその意気込みを語ります。
いち企業の組織改革と研究を中心とした連携発表では、成果物が登場するまでのスピード感が違いすぎて比較できませんが、エレクトロニクスに縁の深い企業がこれだけAIに注力するということは、何らかのかたちで結び付きが生まれるということになります。Intelは既にAI実行に適した半導体製品(正確にはディープラーニングの学習および推論に適した半導体製品)を発表しており、理研らの取り組みに関しても何らかの成果物が期待されます。
両翼を欠いた東芝の成長戦略
東芝が2017年3月14日に発表した経営再建策は、既に売却(外部資本の導入)を決めているメモリ事業と海外原子力事業から撤退しながら、2019年度の売上高4兆2000億円、売上高経常利益率5%を目指すというものでした。
ですが、同日に発表されるはずの2016年度第3四半期決算は監査未完了のため発表されず、同年4月11日に延期されました。そしてその4月11日に決算は発表されましたが米WHの会計処理を巡って監査法人との意見が折り合わず、監査法人による意見表明を得られないままでの強行発表でした。
監査法人からの意見がない決算はスカイマークやカネボウなどの前例もありますが、製造業においては極めて異例です。監査法人の意見は財務諸表の正確性を担保するものであり、株式市場においても重要な情報です。東芝の発表に関しては証券業界から批判の声も寄せられており、内部財政引き続き、企業としての信頼性も揺らいでいます。
2019年度に目指す売上高4兆2000億円は社会インフラ、海外原発製造を除くエネルギー、電子デバイス、ICTソリューションの4分野で組み立てるとしていますが、同社の提示した業績見通しはこの4分野が全て順調に成長する前提となっています。ですが、両翼を手放し、株式市場の信頼性も低下した状態でこの成長は達成されるのでしょうか。綱川社長は3月の会見で「過度な成長を求めた過去の経営と決別する」と語りますが、前途は多難であると言わざるを得ないでしょう。
エレクトロニクス関連企業動向 主要ニュース
2017年3月の企業動向(エレクトロニクス分野)
-
[IntelがAI専門の部門を新設、開発を加速](/tf/articles/1704/25/news025.html#eejnews03_01)・
-
[理研、東芝とNEC、富士通の3社とAI研究で連携へ](/tf/articles/1704/25/news025.html#eejnews03_02)・
-
[メモリ、海外原子力抜きの東芝として成長戦略発表](/tf/articles/1704/25/news025.html#eejnews03_03)・
-
[ルネサス、インターシル買収に伴い組織再編](/tf/articles/1704/25/news025.html#eejnews03_04)・
-
[サイプレス、ミネソタ州の製造工場を売却](/tf/articles/1704/25/news025.html#eejnews03_05)・
-
[デンソー岩手が新工場を建設](/tf/articles/1704/25/news025.html#eejnews03_06)・
-
[ソフトバンク、ARM株式の25%をファンドに売却か](/tf/articles/1704/25/news025.html#eejnews03_07)・
- eejnews03_01#
IntelがAI専門の部門を新設、開発を加速
Intelが新部門「Artificial Intelligence Products Group」を開設すると発表した。AI関連の取り組みをここに集約し、開発を加速することが狙いだ(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年3月30日掲載)。
- eejnews03_02#
理研、東芝とNEC、富士通の3社とAI研究で連携へ
理化学研究所(理研)は2017年3月10日、東芝、NEC、富士通の各社と、理研革新知能統合研究センター内に連携センターを開設する。設置期間は、2017年4月1日から2022年3月31日までの予定だ(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年3月10日掲載)。
- eejnews03_03#
メモリ、海外原子力抜きの東芝として成長戦略発表
東芝は2017年3月14日、メモリ事業の売却、海外原子力事業からの撤退方針を示した上で、2017年度以降の経営戦略を公表した。社会インフラ事業を中心に、エネルギー事業、メモリを除く半導体、HDD事業、ICT事業に注力する(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年3月14日掲載)。
- eejnews03_04#
ルネサス、インターシル買収に伴い組織再編
インターシルを買収したルネサス エレクトロニクスは2017年3月3日、事業組織を2017年7月までに段階的に改変すると発表した。インターシル買収で事業規模拡大を見込む汎用半導体を専門に扱う事業本部などを設ける(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年3月3日掲載)。
- eejnews03_05#
サイプレス、ミネソタ州の製造工場を売却
Cypress Semiconductorは、ミネソタ州の半導体製造工場を、スタートアップのファウンドリーであるSkyWater Technology Foundryに3000万米ドルで売却した。(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年3月6日掲載)。
- eejnews03_06#
デンソー岩手が新工場を建設
デンソーは2017年3月29日、グループ会社であるデンソー岩手に新工場を建設すると発表した。総投資額は約100億円となる予定。新工場では自動車用メーターなどの生産を開始する計画だ(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年3月30日掲載)。
- eejnews03_07#
ソフトバンク、ARM株式の25%をファンドに売却か
Financial Timesによると、ソフトバンクが、ARMの株式の25%(約80億米ドルに相当)を、ソフトバンクが設立するファンドに売却する計画だという。アラブ首長国連邦アブダビ政府系の投資グループであるMubadalaから、同ファンドへの出資を確保することが狙いだとFinancial Timesは報じている(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年3月9日掲載)。
- eejnews03_08#
浜松ホトニクス、新貝工場内に新1棟完成
浜松ホトニクスの新貝工場(静岡県浜松市)内に新1棟が完成した。2017年5月より稼働する。光半導体素子の後工程を担当する新貝工場全体の生産能力は、これまでの2.5倍に増強される(続きはこちら 提供 EE Times Japan編集部:2017年3月31日掲載)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
企業動向を振り返る
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー