企業動向を振り返る 2016年11月版
エレクトロニクス分野で相次ぐ買収劇、「パニックバイ」の可能性は
過去1カ月間のエレクトロニクス関連企業の動向をピックアップしてお届けする「企業動向を振り返る」。年末が見えそろそろ落ち着いたかと思いきや、SiemensによるMentor Graphics買収という大型案件がありました。
2016年のエレクトロニクス業界は「大型M&Aに満ちあふれた年」として、記憶されるに違いありません。
大きなものをざっと列挙するだけでも、ソフトバンクによるARM買収、ON SemiconductorによるFairchild Semiconductor買収、QualcommによるNXP Semiconductors買収などが挙げられます。約1年前にはNXP SemiconductorsがFreescale Semiconductorの買収を完了しており、ここ1年を振り返ると随分、プレーヤーの顔ぶれに変化が起きたものだと思います。
M&Aの目的としては「売り上げ規模や製品ポートフォリオの拡張によって競争力を高める」「不足する技術や製品を補う」などが一般的とされ、買収金額が高額になることの多いエレクトロニクス分野において、関連性の薄い企業間でのM&Aは異業種参入が目的でなければあまり行われてきませんでした。
ですが、2016年はこれまでにないほど、この「例外的な買収」が多く行われた年になりそうです。Qualcomm(NXP Semiconductors)とソフトバンク(ARM)、Samsung Electronics(Harman International)それにSiemens(Mentor Graphics)が直接的なポートフォリオ強化に結び付きにくい企業を買収しています(カッコ内は買収先企業)。そのなかでも買収側と非買収側の親和性が低そうに思えるのが、SiemensによるMentor Graphics買収です
なぜ「機械のSiemens」が「電気のMentor」を買うのか
こちらの記事によれば、Mentor Graphicsのチェアマン兼CEO(最高経営責任者)であるWally Rhines氏は「目的はSiemens PLM SoftwareとMentorのプラットフォームを構築することで、顧客は製品の設計と製造をより簡単に行えるようになる」と将来的に実現するであろうメリットを語っています。
また、ARMを買収したソフトバンクは、グループ代表取締役副社長兼CEOの宮内謙氏がARMの開発者イベントに登壇し、「デバイスと開発環境をARM、ネットワークとサービスをソフトバンクが担うことで大きなビジネスが可能になる」と買収の有用性を強調しました。ARM側はExecutive Vice President兼CCOのRene Haas氏が「経営は安定し、より開発を加速させることが可能となり、ARM単独では参入が難しかった市場へも積極的に関与できる」と非上場になることのメリットを強調しています。
IoTの浸透やモバイル通信速度の高速化、クラウドの発展など、さまざまな要素が絡み合い、未来の予想はそう簡単なものではありません。企業における未来への備えとして、買収が1つの有効な手段であることは間違いありませんが、とにかく買収すれば良いというものでもありません。NXPがFreescaleを買収してその統合作業を行っている間、ルネサスが車載市場のシェアを伸ばすといった出来事が示すよう、買収しないという選択肢も経営判断の1つとしてあるべきです。
ヨーロッパのプロサッカーリーグにおいて、「パニックバイ(Panic Buy)」という言葉があります(英単語としてのpanic-buyとはすこし違うニュアンスです)。有力選手移籍には多額の金銭を必要としますが、計画的に選手移籍を行うのではなく、移籍期限や競合チームの動向に左右され、冷静さを欠いた(そして大金をはたいた)衝動的な選手購入を指す言葉として使われます。
2016年にはエレクトロニクス業界でいくつも大型M&Aが起こりましたが、まだどの案件も成功だったかは分かりません。将来に備えた買収が相次ぐ中で、冷静さを欠いた企業が1つもないと誰が断言できるでしょう。数年後、「あれはIoTの波が引き起こした、エレクトロニクス分野のパニックバイだった」と記録されてしまう買収劇はあるのでしょうか。
エレクトロニクス関連企業動向 主要ニュース
2016年11月の企業動向(エレクトロニクス分野)
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[シーメンスがメンターを45億ドルで買収へ](/tf/articles/1612/21/news023.html#eejnews11_01)・
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[インテル、FPGA戦略の踏襲をコミット](/tf/articles/1612/21/news023.html#eejnews11_02)・
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[QualcommのNXP買収、業界に及ぼす影響](/tf/articles/1612/21/news023.html#eejnews11_03)・
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[Lattice、投資ファンドが13億ドルで買収へ](/tf/articles/1612/21/news023.html#eejnews11_04)・
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[Samsung、Harmanを80億ドルで買収へ](/tf/articles/1612/21/news023.html#eejnews11_05)・
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[車載市場で“逆転”狙うルネサス](/tf/articles/1612/21/news023.html#eejnews11_06)・
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[TEの一部を買収したLittelfuse、車載で活路を](/tf/articles/1612/21/news023.html#eejnews11_07)・
- eejnews11_01#
シーメンスがメンターを45億ドルで買収へ
Siemensは2016年11月14日、Mentor Graphicsを45億米ドルで買収することで両社が同意したと発表した。産業向けソフトウェアを強化してきたSiemensは、今後、自動運転車を含むスマート/コネクテッド製品を開発していく上で、Mentorが持つ電子系設計ソフトウェア(EDAツール)が不可欠だとしている……(続きはこちら)
提供 EE Times Japan編集部:2016年12月14日掲載
- eejnews11_02#
インテル、FPGA戦略の踏襲をコミット
Intel(インテル)のグループ会社である日本アルテラは、東京都内で「インテルSoC FPGAデベロッパー・フォーラム(ISDF)」を開催した。SoC FPGAの製品戦略などについて、これまでの方向性を踏襲していくことを表明するとともに、会場では“インテル色”を全面に打ち出した……(続きはこちら)。
提供 EE Times Japan編集部:2016年11月4日掲載
- eejnews11_03#
QualcommのNXP買収、業界に及ぼす影響
NXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)の「i.MX8」アーキテクチャや、プロセス技術、マシンビジョンなどの側面から、今回の買収による影響を掘り下げる……(続きはこちら)
提供 EE Times Japan編集部:2016年11月7日掲載
- eejnews11_04#
Lattice、投資ファンドが13億ドルで買収へ
FPGAベンダーであるLattice Semiconductor(ラティス セミコンダクター)が、米国カリフォルニア州パロアルトに拠点を置く未公開株式(プライベート・エクイティ)投資ファンドCanyon Bridge Capital Partners(以下、Canyon Bridge)による買収に合意した(続きはこちら)。
提供 EE Times Japan編集部:2016年11月7日掲載
- eejnews11_05#
Samsung、Harmanを80億ドルで買収へ
Samsung Electronics(サムスン電子)は2016年11月14日(韓国時間)、米国の自動車技術グループであるHarman Internationalを80億米ドルで買収すると発表した。同じ日、ドイツのSiemensはEDAツールを手掛ける米Mentor Graphicsを45億米ドルで買収すると発表している。……(続きはこちら)。
提供 EE Times Japan編集部:2016年11月16日掲載
- eejnews11_06#
車載市場で“逆転”狙うルネサス
NXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)によるFreescale Semiconductor(フリースケール・セミコンダクター)の買収が完了したのは、約1年前だ。これによりNXPは車載半導体サプライヤーのランキングで首位に立ったが、NXPが統合作業を進める間、ルネサス エレクトロニクスも同市場でのシェアをさらに伸ばしていたようだ(続きはこちら)。
提供 EE Times Japan編集部:2016年11月28日掲載
- eejnews07_07#
TEの一部を買収したLittelfuse、車載で活路を
回路保護部品を中心に展開するLittelfuseは、2015年11月にTE Connectivityの一部事業を3億5000万米ドルで買収した。買収した事業の日本法人であるLittelfuse ジャパン合同会社で社長を務める蓮沼貴司氏に、国内における自動車分野の取り組みについて聞い……(続きはこちら)。
提供 EE Times Japan編集部:2016年11月29日掲載
- eejnews07_08#
M&Aが続く半導体業界、市場競争の減少が懸念
過去2年間で、歴史的記録をはるかに上回る数のM&Aが行われてきたが、今や買収取引の質は変わりつつある。例えば、MacomやBroadcomはそれぞれApplied MicroとBrocadeに対して買収を申し出ているが、その内容はまるで未公開株式の取引のようだ……(続きはこちら)。
提供 EE Times Japan編集部:2016年11月29日掲載
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