大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
AtmelとMicrochipに見る、半導体企業M&Aの難しさ(2/4 ページ)
Atmelを巡る買収合戦
ということで同社は売却先を探し始める。最初に名前が出たのはDialog Semiconductorである(EE Times Japan:DialogがAtmelを46億米ドルで買収 )。
買収の意向が明らかにされたのは2015年9月の事で、買収金額は46億ドル。同社はPMICを初めとする電力管理関係製品がメインで、Atmelとは製品ラインアップが見事なほどに被らない。同社の2015年度の決算報告によれば売り上げは13.6億ドル、純利益1.8億ドルで、現金及び現金等価物の手持ちも5.7億ドルほど保有している。同社は21億ドルの借り入れと現金、及び株式の形で46億ドル相当を支払うことを予定していた。これは(前段の記事でも言及されているが)比較的よくある、新しい製品ラインと販路を獲得することでトータルとしての売り上げを伸ばそうという戦略である。
これに対して対抗提案を出したのがMicrochip Semiconductorである(EE Times Japan:Microchip、Atmelに38億ドルで対抗買収を提案)。買収金額は38億ドル相当。
一見するとDialog Semiconductorよりも低価格の提案だが、Dialog Semiconductorの株価が下がった関係でこの時点でのDialog Semiconductorの提案はMicrochipを下回る金額になっており、結局Atmelの取締役会はDialog Semiconductorに契約解除金1.4億ドル近くを支払い、Microchip Technologyによる買収を受け入れた(EE Times Japan:Microchip、Atmelを35.6億ドルで買収)。最終的な買収金額は35億6000万ドルである。
Microchip Technologyの2016年度の売り上げは21.7億ドル、純利益は3.2億ドルとAtmel Corporationの倍以上の規模を持っているが、同社の利益の源泉はこれまたMCU部門であり、それも8/16bitの製品がメインである。32bitに関してはMIPS Technologyのライセンスを受けてPIC32シリーズを投入しているが、こちらは各社から投入されているCortex-MベースのMCUの大群に押されまくっているというのが正直な所である。
なのでこの買収により、Microchipは8bit MCUにおけるシェアを確実にできるとともに、32bitでCortex-Mベース製品を投入する足掛かりを得られる事になる。問題は製品ラインアップが思いっきり被りまくっている事で、これをどう整理するのか(or整理しないのか)がこの買収におけるポイントということになる。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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