「Qt」の最新版「5.8」が提供開始された。最新版ではマルチプロセス対応の新機能やステートマシン開発ツールへの統合などが行われた他、カスタマイズ性を高めることで「最大で60%のメモリフットプリントを削減」可能だ。
包括的GUI開発フレームワーク「Qt」の最新版「Qt 5.8」が提供開始された。最新版ではマルチプロセス対応の新機能やステートマシン開発ツールへの統合などが行われた他、IoTデバイスに向けてのメモリ消費量削減やパフォーマンス改善も行われた。
Qtはマルチプラットフォーム対応の包括的開発フレームワークとして知られており、プログラム開発に必要なマルチスレッドやプロセス間通信、ネットワーク、データベースなどといったライブラリを多数備えており、それらはモジュール形式で提供される。
提供開始された最新バージョンでは、このモジュール選択のカスタマイズ性を高めることで組み込み機器での利便性を高めた「Qt Lite」が導入されている。ニーズに合わせたカスタマイズを可能な限り行うことで、「最大で60%のメモリフットプリントを削減」(同社)というサイズダウンを可能とした。これにより搭載可能なデバイスの幅が広がり、ウェアラブルデバイスのようなローパワーなデバイスでもQtを組み込むことが可能となった。
また、バージョン5.7でテクノロジープレビューが行われていたQt Wayland Compositor APIが正式となった。これによってQtの機能を用いて独自のWaylandコンポジタを作成し、複数プロセスへのUI分散が容易となった。その他にもQt Serialbusが正式対応となり、APIからバスプロトコルや通信の制御が可能となっている。新たなテクノロジープレビューとしては、音声読み上げ機能やクラウド接続を容易とする機能が用意された。
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