沖縄モノづくり新時代(7)
イルカ、クラゲ……美ら海水族館の話? いえ、ロボットの名前です――「沖縄海洋ロボコン2016」レポート(4/4 ページ)
アイデアと技術を競う「フリースタイル部門」
フリースタイル部門
長崎大学と九州職業能力開発大学校の2チームが参加した。競技というよりも開発者のプレゼンテーションと実機のデモで開発中のロボットを紹介するといった雰囲気だった。
最優秀賞:
開発ロボット名:Raybot
開発チーム名:長崎大学
「エイ」を模した海洋ロボット(図17)。寸法は110×150×15cm、重量は30kg。開発チームはスクリューに変わる推進力を研究しており、その候補として魚のヒレの動きを模した「弾性振動翼機構」を採用した(図18)。サーボモーターのスピード制御で3段階の速度調節が可能だという。
騒音が出ないので周囲にいる海中生物が驚かないという特徴があり、海中生物の観察や水族館などでのアミューズメントといった用途を想定している。フリースタイル部門では、ゆっくりとした自然な動きを海中で披露した。
なお、フリースタイル部門に参加したもう1チームの九州職業能力開発大学校は、超音波センサーを使って対象物との距離を測定するデモを実施した。ただ、海中ではなく真水プールを使ったデモだったため、実際の利用シーンと離れているということで受賞を逃した。
年々高まる開発力、2017年の海洋ロボットにも期待!
今回、競技の全日程を通して印象に残ったのは、参加者の真剣さである。開発を進めてきたロボットが当日になってうまく動かずに試行錯誤しながら修理を試みる姿や、海に浮かぶロボットを見ながら操縦コントローラーを必死に動かす様子、メモ帳を手に他チームのメンバーに話を聞く姿など。そのメモ帳には、「すぐ試してみる」「試せるかどうか検討する」といった開発アイデアがたくさん記載してあった。
最終日の閉会式で、ROV部門の競技を総括した山本郁夫氏(長崎大学工学部工学科機械工学コース 教授)は、「競技に参加するロボットのレベルが年々向上している。ROV部門では目標クリアは当たり前。ゴールまでのスピードやパフォーマンスの勝負になってきている。当日の海洋状況やアクシデントで失敗してしまうこともあるかもしれないが、チャレンジを続けてほしい」と語った(図19)。
沖縄の海というと海水浴やシュノーケル、ダイビングといったレジャーの印象が強いが、モノづくりやロボット開発の舞台としても注目していきたい。「第3回 沖縄海洋ロボコン」では、各ロボットがどのように進化しているのか、そして新しい参加チームがどのような海洋ロボットを持参するのか、今から楽しみだ。
筆者からのメッセージ:「地方×モノづくり」で課題解決、魅力発掘!
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や、魅力発掘の後押しとなる――。このような考えの下、「沖縄モノづくり新時代」と題した本連載では、沖縄という地方を例に、モノづくり/エンジニアリング技術を活用し、地方が抱えるさまざまな課題の解決に取り組む事例や、地方の魅力を掘り起こしていく事例に焦点を当てていく。
漁業や農業、林業といった第一次産業のみならず、観光・サービス業などさまざまな領域に深く関わり、地方の活性化を下支えするモノづくり/エンジニアリングの話題に注目してほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
沖縄モノづくり新時代
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や魅力発掘の後押しとなる。本連載の主役は、かつて“製造業不毛の地”といわれていた沖縄だ。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] 脱炭素投資をすぐ回収するには? エネルギー&CO2削減の成果を出す秘訣 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
計測器アプリケーションにおいて7.5桁の精度を実現する方法
-
3
ものづくり白書2026を読み解く
-
4
ChatGPT Enterprise活用ガイド:業務時間を1万7600時間削減したMIXIの事例も
-
5
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
6
AI×DXで効率化する設備保全まとめ
-
7
「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは?
-
8
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
9
脱炭素投資をすぐ回収するには? エネルギー&CO2削減の成果を出す秘訣
-
10
動き出したファナックの「フィジカルAI」
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー