沖縄モノづくり新時代(7)
イルカ、クラゲ……美ら海水族館の話? いえ、ロボットの名前です――「沖縄海洋ロボコン2016」レポート(2/4 ページ)
チームごとに特色が大きく異なる海洋ロボット
それでは、各部門で受賞したチームのロボットの特徴や競技の様子を紹介しよう。
ROV部門
イケハウス、沖縄職業能力開発大学校、長崎大学/日本文理大学、琉球大学、沖縄工業高等専門学校、九州職業能力大学校の合計6チームが参加した(並びは申し込み順)。
勝負のカギを握ったのは、ロボット動作の安定度。各種センサーでロボットの挙動を海中で制御する技術というよりも、操縦者が意図した通りに潜水、浮上、航行できるかどうかが勝敗を分ける場面が多かった。決勝トーナメントではロボット動作の安定度に加えて、プロペラを回すモーターの推進力の差が勝敗を決めた。
最優秀賞:
ロボット名:Seabot NU&NBU(2号機)
開発チーム名:長崎大学/日本文理大学 合同チーム
高機動ROVをコンセプトにしており、海中での移動スピードを追求したロボット(図7)。1号機ではブラシ付きモーターを使っていたが、2号機では新たに高出力のブラシレスモーターを利用することで高速化を実現したという。
ドローン用フライトコントローラー「PIXHowk」を操縦支援システムに採用したことも特徴。GPSやジャイロ、地磁気、加速度といった各種センサーを搭載しているが、今回の競技ではロボット制御には使っていない。ただし、海中でうまくバランスが取れるよう、筐体上部に浮き構造を配置した。海中での素早い動きが印象的で、予選リーグ、決勝トーナメントともに安定した試合運びで優勝した(図8)。
優秀賞:
ロボット名:カナイ号
開発チーム名:沖縄職業能力開発大学校
寸法が50×51.4×126cmの円柱状の筐体に、インテルの「NUC ミニ PC」やナショナルインスツルメンツ(NI)の「NI myRIO」、カメラ、3軸地磁気センサー、圧力センサーなどを組み込んだ。最大の特徴は、浮上用、推進用、旋回用にそれぞれ2つ、合計6つのブラシレスモーターを搭載したこと(図9)。
地磁気センサーや圧力センサーの情報を基に、方向や深度を一定に保つ機能を備えており、力強い推進力と安定度を両立することを目指した。2015年のROV部門の優勝チームだったが、決勝トーナメントでは長崎大学と日本文理大学の合同チームのロボットにスピードでかなわず、3位となった(図10)。
特別賞:
ロボット名:クラゲちゃん
開発チーム名:イケハウス
もともと水中ロボコンの水中撮影用に開発したロボット。「せっかく作ったのに競わないのはつまらない。それだったら、海に行ってみよう!」ということで、海洋ロボコンに初めて参戦した。何と、自宅の実験プールに100kgの塩を投入し、沖縄の海と同じ塩分濃度を再現したという力の入れようだ。
水中ロボコンの撮影用ロボットがベースにあるため、小型で小回りが効くことが特徴。寸法は28×28×25cmで、移動の飛行機に手荷物で運んで来られたほど小さい。重量も4.2kgと参加チームの中で最軽量だ(図11)。
海洋ロボコンに向けて、電子部品のゴムコーティングを強化したり、推進力を高めたりといった改良を加えた。また、潜水と浮上を繰り返す競技ルールに合わせて、深度センサーや方位センサーの情報を基に、ロボットの深度や方向を安定させるスタビライズ機能を追加したという。運動系の制御はArduino、PCとの通信はRaspberry Piが担い、自社で開発したモデル駆動開発ツール「BricRobo」を使ってソフトウェアを設計・実装した。
予選および決勝トーナメントでは安定した動きを見せ、決勝戦まで進んだ。決勝戦では、長崎大学/日本文理大学の合同チームと当たったが、いかんせんモーターのパワーが大きく異なり、推進力の差で敗れてしまった。決勝トーナメント2位となったが、優秀賞は学生が対象ということでイケハウスには特別賞が授与された(図12)。
特別賞:
ロボット名:オジサン
開発チーム名:沖縄工業高等専門学校
センサーを全く使わずカメラのみを内蔵した非常にシンプルなロボット。部品は基本的に自作し、製作費用を約7万円に抑えた。内部にバッテリーを内蔵し、ノートPCで操作する。
「センサーを内蔵していないため、進んでいる方向すら分からない。ただ、操縦テクニックで優勝を目指す」と意気込んだが、予選リーグの途中でカメラのカバーが破損して海水が入り込んでしまい、回路基板がショート。あえなく予選リーグで棄権となった(図13)。
ただ、操縦者のプレゼンテーション(しゃべり)や競技中のロボットの動きが面白く、特別賞を受賞した。ちなみにロボットに付けられた「オジサン」という名前は、人間の「おじさん」ではなく、とある魚の沖縄方言名だ。
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沖縄モノづくり新時代
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や魅力発掘の後押しとなる。本連載の主役は、かつて“製造業不毛の地”といわれていた沖縄だ。
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