ルネサス エレクトロニクスは、ACサーボドライブや産業用ロボットシステムなどの開発/評価に適した「RZ/T1モーションコントロールソリューションキット」を発表した。
ルネサス エレクトロニクスは2016年6月、「RZ/T1モーションコントロールソリューションキット」を発表した。日本では2016年7月末より発売する。ACサーボドライブや産業用ロボットシステムなどの開発/評価用途に向ける。
RZ/T1モーションコントロールソリューションキットは、同社製MPU「RZ/T1」を搭載したインバーター制御基板や、2個のサーボモーターを駆動できるインバーター基板、評価用モーター、ソフトウェア開発ツール、モーターパラメーターの調整やモーションコントロール動作が可能なユーティリティーツール、制御用ソフトウェアなど、モーションコントロールシステムを開発するために必要な環境を、1つのパッケージで提供する。
このキットを活用すれば、開梱してわずか30分程度でサーボモーターを駆動させ、システムの評価を始めることが可能となる。キットに含まれる回路基板の設計情報や制御用ソフトウェアのソースコードも提供される。このため、システム設計者は開発期間を従来に比べて3〜4カ月短縮することが可能だという。
インバーター制御基板には、高い演算性能とリアルタイム応答性を備えたRZ/T1が実装されている。このため、高速で高精度な制御ループや通信を実現することができる。また、エンコーダーインタフェースを内蔵しており、インクリメンタルエンコーダーに加えて、「A-format」や「EnDat」「BiSS」といったアブソリュートエンコーダープロトコルもサポートしている。これまで、アブソリュートエンコーダーに対応するため用意しなければならなかったFPGAも不要になるという。
RZ/T1には、産業用イーサネットの通信アクセラレーター「R-INエンジン」を搭載している。これにより、「EtherCAT」や「PROFINET」「EtherNet/IP」といったプロトコルを高速に処理することができる。R-INエンジンはメインのCPUとは独立して動作するため、メインCPUが担当するサーボ制御処理などに影響を及ぼすこともない。
同梱されているユーティリティーツールを用いると、インクリメンタルエンコーダーやアブソリュートエンコーダーを使った台形制御、S字加減速制御によるモーション制御の動作評価が可能。内部パラメーターの抽出と波形表示機能により、動作状態を可視化することが容易となった。これにより、評価やデバッグ作業の効率を高めることができる。
この他、制御基板やインバーター基板は、産業イーサネットやエンコーダー用インタフェース、RSS422、RS232、CAN、USBといった通信インタフェースを用意している。さらに、過電流遮断や母線電圧検出など、安全設計に対応した機能も搭載している。
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