愛知製鋼は、電気炉から出される排熱からエネルギーを回収・変換し活用する製鋼リエンジ「電気炉の排熱有効活用」に着手することを決め、設備工事を開始した。
トヨタ自動車グループの素材メーカー、愛知製鋼(愛知県東海市)は、鋼材生産プロセスを工程スルーで改革する「鋼材4Sリエンジ」(Simple、Slim、Short、Straightを目指したプロセス改革)の一環として、電気炉から出される排熱からエネルギーを回収、変換し活用する製鋼リエンジ「電気炉の排熱有効活用」に着手することを決め、このほど設備工事を開始した。
同社は鋼材生産プロセス改革として、これまで、Part1(大断面連続鋳造機更新による品質レベルの向上)、Part2(分塊圧延における鋼材搬送装置改造および素形材サイズ統一による生産性・歩留向上)、Part3(精整ライン増設による品質保証・納期保証レベルの向上)と計画的に取り組んできた(図1)。
今回のPart4では、エネルギーを大量に消費する製鋼工程(主原料である鉄スクラップを溶解する)で、従来は未使用のまま処理していた電気炉の排熱を蒸気エネルギーとして回収する。一部は他の製鋼設備で直接活用し、残りは発電により電力に変換し他設備の動力源として有効に活用することにより、工場全体の省エネルギー改革を目指すプロジェクトに取り組む(図2)。
具体的には同社知多工場内に電気炉排熱ボイラー設備(高温側、低温側、蒸気生成量=約20トン/時)と発電機(発電量=約2MWh)を新たに導入し、鋼材、鍛造プロセスにおける使用エネルギー(原油換算)を約1%削減(CO2排出削減目標10 千トン/年削減)を目指す。設備投資額は約30億円で、2017年1月稼働予定だ。なお、電気炉排熱を有効活用した発電事例は国内で初めてという。
これまで、同社は鉄スクラップを鋼材に再生する資源循環を通して、持続可能な社会と地球環境保全に貢献してきた。今回の電気炉の排熱有効活用を起点に、エネルギー消費量とCO2排出量の削減を改革レベルで進め、「環境循環型企業」として、これまで以上に社会・地球環境への貢献を目指す。
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