豆蔵と東京農工大学は、「産業用ロボットアーム」の開発期間を短縮するための開発プロセス/設計手法に関する共同研究をスタート。開発コストの削減や早期市場投入に貢献していきたい考えだ。
豆蔵は2016年2月24日、東京農工大学と共同で「産業用ロボットアーム」の開発期間を短縮するための開発プロセス/設計手法に関する研究を開始したことを発表。これを機に同社は、ロボットの試作・製品開発に進出していきたい考えだ。
近年、産業用ロボット市場は拡大傾向にあり、多種多様な機能や形状を持つロボットアームの新規開発に対するニーズが高まっているという。
一般的に、産業用ロボットアームの新規開発は、既存のロボット開発の経験に基づき、目標とする機能/性能を達成するまで、実機ベースの試作・検証を繰り返しながら開発を進めるため、完成までに数年を要するケースが多くみられた。そのため、開発コストが大きく膨らみ、開発・市場導入の遅延による機会損失の影響も計り知れないものだったという。
これに対し、今回の共同研究では、豆蔵の強みであるソフトウェア開発プロセスおよびソフトウェア技術と、東京農工大学 先端機械システム部門 教授 遠山茂樹氏のロボット工学の知識を融合させた新たな開発プロセス/設計手法により、短期間で競争力のある産業用ロボットアームを実現するものである。
» 油量制御技術により低トルク性能を向上させたアンギュラ玉軸受を開発
» 産業用途向け「Raspberry Pi」専用ケース――高い保護性能と優れた拡張性を提供
» 直径約7.7mの旋回座軸受が、国内最大のトンネル用シールド掘進機に採用
» 「世界初」のGaNパワー半導体搭載サーボドライブ
同研究では、従来の実機ベースによる試作・検証の代わりに、ロボットの3次元モデルデータを作成して構造解析および動作解析を行い、その結果を踏まえて、ロボットの3次元モデルデータをブラッシュアップしていく方式を採用。これにより、実機開発に掛かるコストや手間を大幅に削減し、完成度の高い実機試作の製作が可能となるという。また、こうした一連の作業工程の中で、実際にどのような課題が発生し、どのように解決・改善したかなどを検討・レビューし、そのサイクルを繰り返していくことで設計手法の確立を目指す。
近年、コンピュータ性能の向上により、3次元CADやCAEの活用範囲も広がり、実機が出来上がる前から、コンピュータ上で強度や挙動、振動、組み立て実験・検証が行えるようになってきた。今回の研究では、実機の代わりにロボットの3次元モデルデータを作成してコンピュータ上で検証を繰り返すことで、ロボットの実機試作の回数を減らすことが可能になるとしている。
具体的なアプローチとしては、ロボットの3次元モデルデータの作成、最適なモータと減速機の選定(動作シミュレーションによる負荷トルク推定に基づく)、形状の最適化(動作解析や構造強度解析、振動解析に基づく)、3次元CADによる図面化、実機試作、実機性能評価などを実施し、ロボットアーム実機製作に必要な設計作業を通してそのプロセスの妥当性を検証する。これらの作業は豆蔵と東京農工大学とで分担して行っていく方針である。
今回の取り組みから得られた開発プロセスに対する知見やロボット設計ノウハウは、産業用ロボットに限らず、多種多様なロボット開発(介護ロボットなど)にも有効であるという。
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