大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
激しさ増す“x86 vs Arm”の戦い、そしてArmを猛追するRISC-V 2019年動向予測(1/2 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウォッチする連載。今回は、経営陣の入れ替わりや大型M&Aの話題で持ち切りだった2018年の動きを振り返りつつ、その後の動向をフォローアップしながら、2019年のエレクトロニクス/組み込み業界動向を予測する。
2019年1月は「CES」などもあって大きな動きが見られるかと思いきや、意外とそうでもなかった。CESに関しては、こちらに記事がまとまっているので興味のある方はご覧いただければと思うが、細かくはいろいろな製品/サービスなどが出てきてはいるものの、“大きなトレンド”になるようなモノは見当たらなかった気がする。
その他の大きな動きとしては、やっとIntelのCEOが決まったことだろうか。ただ、結果からいえば、2018年からCFO兼暫定CEOを務めていたRobert Swan氏が正式なCEOに昇格したというもので、無難ではあるが大きな変革が期待できそうな感じはない。Intelも創業50年を超えて、そろそろいろいろな変革が必要ではないのか? という気もするのだが、その時期がやや遠ざかる可能性が強くなったように感じる。まずはSwan氏の今後の手腕を拝見したいところだが、就任初日にSwan氏が従業員に送ったメールを見る限りは、そうした動きは特に見当たらないようだ。
そんなわけで今回は2018年を振り返りつつ、その後の動向なども含めてフォローアップしていきたいと思う。
激しい経営陣の入れ替わり
2018年1月に経営陣のシャッフルがあったかと思えば、その後、Brian T.Crutcher氏が辞任に追い込まれるなど、Texas Instrumentsの周りはいろいろとせわしない。
ただ、元IntelのBrian Krzanich氏や元RambusのRon Black博士は、その後、別のポジションを得ている。また、Lattice SemiconductorもDarin G.Billebeck氏の辞任を受け、元AMDのJim Anderson氏をCEOに抜てきするなど、取りあえず主要な半導体企業のCEOの“椅子取りゲーム”は一段落した感がある(唯一残っていたIntelも2019年に片付いたわけだし)。
業界全体を見渡すと、NXP Semiconductors(以下、NXP)のCEOであるRichard L. Clemmer氏が現在67歳、BroadcomのCEOであるHock E. Tan氏が現在66歳と、そろそろ後継者を考えないといけない年齢になってきたところだが、どちらも“後継者選び”には難渋しそうな感じだ。2019年中に、そうした動きがどこまで顕在化するかは分からないが、筆者の予想では2019年はあまり大きな動きはなく、2020年以降に持ち越しになりそうな気がする。
M&Aは一段落
MicrochipによるMicrosemi買収や、BroadcomによるQualcomm買収失敗、QualcommによるNXP買収断念といった、大型M&Aの案件が多かった2018年だが、2019年は買収そのものは起きるにしても、あまり大きな買収案件は出てこないというのが現在の観測である。
ついでに書くと、Qualcommの買収を断念したBroadcomは、2018年7月に189億ドルでCA Technologies(以下、CA)を買収している。ちなみに、2017年度におけるCAの売り上げは40.4億ドルで税引き前利益が10.7億ドル、対してBroadcomは176.4億ドルの売り上げで税引き前利益が23.8億ドルといったところで、CAがいかに効率良く稼いでいるかが分かる(売り上げはBroadcom本体の4分の1なのに、利益は2分の1である)。
そういう意味では“悪くない買収”だとは思うのだが、逆にいえばBroadcomがQualcommを買収しようとしたのは要するに“売り上げを増やしたいだけ”であり、稼げさえすればQualcommである必要はなかった、ということになる。まぁ、そういう意味ではQualcommがBroadcom傘下に入らなかったのは正解だったのかもしれない。
先端プロセスへの傾倒
GLOBALFOUNDRIESが7nmプロセスの提供を断念し、その一方でTSMCとSamsung Electronics(以下、Samsung)は7nmへの傾倒を強めているわけだが、この7nmの需要は予想よりも大きくなりそうだ。
業界はというと、モバイルやHPCだけでなく自動車もやはり7nmが必須と判断しているからである。要するにADASというか自動運転がターゲットであり、特にSAE J3016で規定するところのLevel 4(High Automation)やLevel 5(Full Automation)を実現するためには、現在の数千倍の演算処理能力が必要とされる。これを現実的な消費電力で実現するためには、現在の16/14nmあたりのプロセスノードでは全然足りず、プロトタイプを7nm世代、量産品は5nm世代あたりまで持ち込まないと間に合わないという話である。
実際、Armも自動車向けのIPを続々強化しつつあるが、ターゲットプロセスは7~5nmとなっており、必然的にこのマーケットはTSMCとSamsungで総取りになった形である(逆にいえば、GLOBALFOUNDRIESはこのマーケットを完全に逃した、というわけだ)。
ちなみに、この記事では、IBMがTSMCの7nmを利用予定と報じられていたことを書いたが、この後、IBMはプレスリリースを出し、Samsungの7nm EUVを利用して同社の将来製品を製造するとともに、Samsungと15年にわたるR&Dのパートナーシップを結ぶことを明らかにしている。
要するに、EUVによる量産が実用的になる2019年末~2020年まで製品出荷を待てるメーカーはSamsungに、そこまで待てないメーカーはTSMCを使うという構図で、普通に考えればTSMCに流れた顧客は当面DUVのトリプルパターニングだが、2020年にはEUVにシフトしていくことになるだろう。従って、モバイルおよびHPC(富士通がその最右翼だ)はTSMCがメインとなる形だが、自動車向けは2020年で十分間に合うことを考えると、TSMCとSamsungの両方にチャンスがあるとみてよいだろう。
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大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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