パナソニック 技術セミナー
「自動化」の次に見据える提供価値は? パナソニックのロボティクスビジョン(1/2 ページ)
「自動化(Automation)」によるモノづくり現場の革新に注力してきたパナソニックが、これまでとは異なる方向性のロボット開発を目指し、共創型イノベーション拠点「Robotics Hub」を開設した。その狙いと“自動化”の次に見据えるパナソニックのロボティクスビジョンとはどのようなものか。
「自動化(Automation)」によるモノづくり現場の革新に注力してきたパナソニックが、これまでとは異なる方向性のロボット開発を目指し、取り組みを加速させようとしている。
長年培ってきた“Automation”の次の価値提供領域として同社が選択したのは、「自己拡張(Augmentation)」だ。文字通り、人間が本来持っている能力をロボット技術で拡張することを意味し、AutomationとこのAugmentationの実現により、近い将来訪れる「人生100年時代」をより豊かなものにすることを目指す。
「パナソニックは実装機や溶接システムなど、これまでモノづくりの世界で自動化、機械化の実現に向けて努力し続け、モノをより早く、正確に、品質良く作ることに注力してきた。当然、ここでの進化の手を緩めるつもりはないが、次に目指すものとして、われわれはAutomationとは異なるロボティクスのコンセプトを作りたいと考えた。それがAugmentationだ」と、パナソニック 執行役員 生産革新担当 兼 マニュファクチャリングイノベーション本部長の小川立夫氏は説明する。
パナソニックが新たに目指す“Augmentation”を実現するロボットの方向性は2つある。1つは、最先端のメカトロ技術で人間の能力や動作の性能などを向上させる「Enlarge」。もう1つは、人間を理解する技術を高め、感覚や感情につなぎ込む「Enrich」である。「自分自身が高齢者になったとき、全てのことをロボットにしてもらうことが人生の幸福につながるかといえばそうではない。自分で歩ける、料理ができる、トイレに行けるなど、自分がやれることが増えること、そして、その結果誰かの役に立っていると実感できることが幸福につながる。そのような生活を技術の面からサポートしていきたい」と、小川氏はこの取り組みの意義を述べる。
以降、2019年1月25日に行われたパナソニック 技術セミナーの内容を基に、この取り組みを加速させるためのパナソニックの戦略と、“Automation”と“Augmentation”の実現で目指そうとする同社のロボティクスビジョンについて解説する。
1社では難しい、ロボット開発サイクルの高速化を実現する枠組み
先に挙げた理想を実現するには課題がある。それは顧客が求めるロボットの機能やサービス、またその利用目的に応じて必要な技術が異なり、その数も多岐にわたることだ。それ故、ロボット開発は市場ニーズの掘り起こしから実証、そして商品化までのサイクルに非常に長い時間がかかっており、「多くの技術を総合的に組み合わせ、迅速に方向性を決められるプロデュース力が強く求められる」(小川氏)という。
パナソニックが挑戦しようとする“Augmentation”を実現するロボットは、まさに“これから”の時代に向けたロボットであり、最先端技術はもちろんのこと、精神物理学や認知科学などの学問や研究といった幅広い知見が求められる。さらにロボット開発サイクルの高速化を実現するためには、「パナソニック、1社の力だけでどうにかできるものではない」と小川氏は説明する。
そこで、パナソニックは共創型イノベーション拠点として「Robotics Hub(ロボティクス ハブ)」を開設。企業間連携や産学連携を促進し、サービスロボットをはじめとする次世代ロボットの早期実用化を目指す。
Robotics Hubは、社内連携を担うロボット開発拠点として、ロボットモジュールや次世代ロボット技術の開発を行う「大阪拠点」(大阪・門真市)と、社外連携拠点として機能し、大学や他企業との共同開発、開発したロボットの実証実験などを行う「東京拠点」で構成される。パナソニックはこのRobotics Hubの枠組みを活用し、“Automation”、そして“Augmentation”をテーマとしたロボット開発を加速する考えで、現在、千葉工業大学、東京大学、東北大学、奈良先端科学技術大学院大学、立命館大学、早稲田大学の計6大学とテーマを決めて共同研究に取り組む。
このRobotics Hubでは、パナソニックがハブとなり、産学官や技術、顧客を結び付ける役割を担う。これと同時に、ハード/ソフト、シミュレーション技術など、ロボット開発に必要なものをすぐに使えるプラットフォーム(資産)として提供、蓄積することで、ロボット開発の高速化につなげるという。
さらに、パナソニックはエンジニア以外の専門家からの先端知見を取り入れる仕組みとして、学際的バーチャルラボ「Aug-Lab」を2019年4月に開設する計画で、共創の促進とともに価値検証を進め、次世代ロボットの早期実用化を目指すとする。
「産学連携として、まずは今回発表の6つの大学と取り組みを開始するが、これに限定するものではなく、今後増えていく可能性もある。企業間連携に関しては、現在、WHILLと始めているところで、今後はRobotics HubのWebサイトを通じて社外との連携を進めていきたい」と、パナソニック ロボティクス推進室 課長/エキスパート ロボティクスハブ運営委員長の安藤健氏は説明する。
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