第273回 NRIメディアフォーラム
勢い止まらぬ深セン、スタートアップのイノベーション創出を支えるエコシステム(2/2 ページ)
深センはハードウェアだけではない!? 投資家たちが関心を集める領域とは?
“中国のシリコンバレー”と呼ばれることもある深セン。それだけに将来有望なスタートアップ企業を多数輩出している。当然、多くの投資家たちが強い関心を示しており、投資件数もここ数年、年間900件程度で推移し、年間投資額も500億元(8200億円)弱と堅調だという。
投資家たちの関心を集める領域はどこか。近年では、ヘルスケアやツール/ソフトウェア、法人サービスといった領域に対する投資額が急速に増えており、「かつて深センはハードウェアの街というイメージが強かったが、現在はその領域を拡大しつつある」と鄭氏は述べる。
深センの成長を支える“複合的支援”を行うプレイヤー
急成長を遂げる深セン。その根幹を支えているのが、メイカースペースやアクセラレータといった、製品およびサービス開発に寄り添った支援を行うプレイヤーの存在だという。
技術開発なのかビジネスなのか、育成なのか投資なのか、その位置付けは異なるが、スタートアップ企業を支えるメイカースペース、アクセラレータ、インキュベーター、PEファンド/ベンチャーキャピタルなどが深センに多く集まっている。
そして、深センの特長として挙げられるのが「これら支援側のプレイヤーが明確に分かれているわけではなく、例えばアクセラレータ兼インキュベーター、あるいはベンチャーキャピタルが運営しているメイカースペースなど、複合的な支援を行うプレイヤーが増えつつある点だ」と鄭氏は説明する。
事例として、アクセラレータ兼インキュベータースペースの「WeYoung(ウィーヤング)」を紹介。こちらのスペースは、約60ものスタートアップ企業が利用しており、開発支援だけではなく、法務や税務といった支援も行ってくれるという。また、興味深いのはファンド企業が同居している点である。
「ファンド企業にとっては、先進的な技術やアイデアにいち早く触れることができ、本当に支援する価値(投資価値)があるのか、その実力を見極めるのに役立つ。また、そうした実力のあるスタートアップ企業との関係構築をスピーディーに行えるという利点もある。このような開発に寄り添った支援、育成体制の仕組みが、深セン独自のエコシステムの構築につながっている」(鄭氏)
最後に、鄭氏は「深センは、人、資金、場が集積した“双創(※1)”地域である。もし、イノベーション創出に挑戦しようと考えているのであれば、メイカースペースやアクセラレータを活用して、スタートアップ企業との接点を作ることが重要だ。そして、小さく、早く、成功実績を獲得し、その経験を基にグローバルなR&Dの最適化を検討すべきだ」とまとめた。
※1:双創とは「創新(イノベーション)」と「創業(スタートアップ)」の総称を意味する。
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