ダッソー・システムズ 3DEXPERIENCE Lab
イノベーションの芽を育てるスタートアップ支援制度――仏、米、そして日本で?
ダッソー・システムズは、スタートアップやベンチャー企業を支援するプログラム「3DEXPERIENCE Lab」の展開を、新たに北米で開始すると発表。先日行われた「SOLIDWORKS World 2017」では、将来的なアジアでの展開の可能性についても触れた。
イノベーティブなプロダクト、すなわち社会や人々の暮らしに大きなインパクトを与えるような革新的な製品の多くは、これまで大企業が主導して生み出されてきた。しかし、近年、“モノづくりの民主化”“ユーザーニーズの多様化”が加速し、大手企業ばかりではなく、多くのスタートアップやベンチャー企業からもイノベーティブなプロダクトが生まれてくるようになってきた(関連記事:やさしく教える「破壊的イノベーション」の基礎)。
こうした新たな潮流に対して、ダッソー・システムズは、スタートアップやベンチャー企業から申し出のあったプロジェクトの実現をバックアップする制度、「3DEXPERIENCE Lab」の取り組みを2015年フランス本社でスタート。これまで同社は、さまざまな戦略的投資と同様に、アントレプレナー(起業家)精神に富むプロジェクトへの支援を推し進めてきたという。そして、2017年2月5~8日(米国時間)に開催されたSOLIDWORKSユーザーの祭典「SOLIDWORKS World 2017」(開催地:米国カリフォルニア州ロサンゼルス)では、3DEXPERIENCE Labの北米展開と、将来的なアジア地域での展開の可能性について言及した(関連記事:SOLIDWORKSユーザーの祭典LAで開幕――3D設計業務の未来を見据えたさらなる進化に期待)。
ダッソー製品群の使用や各種支援を受けられる「3DEXPERIENCE Lab」
3DEXPERIENCE Labを担当するダッソー・システムズのFrederic Vacher氏は、「都市、生命、ライフスタイル、IoT、ファブラボ、コンセプトづくりといった所定のテーマを対象にプロジェクトを審査し、経営陣が認めたものについて支援を行う。審査の基準としては、『Disrupting Products』『Collective Intelligence』『Transforming Society』の3つの条件を満たす必要がある。すなわち、これまでの概念を打ち壊すような製品であるか? 人々や企業が協調して高い知的能力を発揮できるものか? そして、社会を変えてしまうようなものか? といった基準である」と述べる。
そしてこの取り組みは、同社の一部組織によるものではなく、「会社全体、全社員が同じ意識の下、イノベーティブなプロダクトの創出を支援するものだ。最初に考えられたアイデアを一緒になって大きく育てていきたい」(Vacher氏)という。実際に、申し出のあったプロジェクトに対して同社の「3DEXPERIENCEプラットフォーム」が提供するクラウド環境へのアクセスや「CATIA」「DELMIA」「BIOVIA」といった産業界で使用されるプロ仕様のツールが提供される他、同社社員から直接技術支援を受けたり、プレゼン準備の指導を受けたりすることもできるという。
最終的に、同社CEOのベルナール・シャーレス氏の承認を受け、支援および投資を受けられるプロジェクトは年間で10件程度だという。「数的に少ないと思われるかもしれないが、数ではなく価値を重視した結果である」とVacher氏は説明する。ちなみに、SOLIDWORKS World 2017では、既に成果が出始めているプロジェクトの例として、XtreeEが手掛ける“巨大3Dプリンタ建造物の実現と素材開発”、BIOMODEXによる“医用画像の3Dモデル化と手術前検証/トレーニング”について紹介していた。
フランスに続く展開としては、2017年5月に同社米国本社のあるマサチューセッツ州ボストン近郊に新しい3DEXPERIENCE Labをオープンする予定。マサチューセッツ工科大学 Center for Bits and Atoms(CBA)の支援を受け、ファブラボが併設される予定だという。また、同社はアジアへの展開についても示唆し、「将来的に日本か上海でアジアにおける3DEXPERIENCE Labを展開したい。そうした展開のためには、大学やインキュベーターなどとの協力関係を築くことが重要となるだろう」とVacher氏はいう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
企業戦略(製造IT)
製造業向けITツールやソリューション、サービスを展開する主要企業の取り組み、事業戦略をピックアップ。業界・企業動向の情報収集にぜひご活用ください。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー