世界中から5000人以上の参加者が集まる3D設計ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「SOLIDWORKS World 2017」が米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開幕した。SOLIDWORKSのキーマンによる講演やキーノートスピーチの他、先進的なユーザー事例の数々を見聞きすることができる。また、次期バージョンで搭載予定の新機能について披露されるスニークプレビューも注目。今回はどのような新機能や新たなソリューションを提案してくれるのか注目していきたい。
2017年2月5日(米国時間)、19回目の開催となる3D設計ソリューション「SOLIDWORKS」の年次ユーザーイベント「SOLIDWORKS World 2017」(会期:現地時間2017年2月5〜8日、会場:ロサンゼルス・コンベンション・センター)が、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで開幕した。このSOLIDWORKSの祭典には、世界中から5000人以上のSOLIDWORKSユーザーやSOLIDWORKSエキスパート(認定技術者)、パートナー企業などが集う。基調講演や200以上のセッション、各種ハンズオンセミナーの他、100社以上のパートナー企業による展示デモなどを見聞きすることができる。
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事実上のイベント初日となる同年2月6日からは、会場メインホールにて基調講演が行われる。SOLIDWORKSのキーマンによる講演、著名人などを招いたキーノートスピーチ、先進的な製品開発を行っているSOLIDWORKSユーザーによる事例講演などが3日間ラインアップされており、同イベントを盛り上げる。毎回メインホールが満席になる基調講演だが、今回のSOLIDWORKS World 2017でも注目のキーノート、ユーザー講演が用意されている。その一部を紹介しよう。
まず注目なのは、エレキギター/ベースを手掛けるPRS Guitarsの創業者であるポール・リード・スミス氏と、エンジニアのジョン・ウェッセルマン氏によるユーザー事例講演だ。Alter Bridge、Creedのギタリストとして有名なマーク・トレモンティ氏のシグネチャモデル「Mark Tremonti Signature」の開発ストーリーを紹介。事例講演にはマーク・トレモンティ氏自らも登壇予定とのことで盛り上がること間違いなしだろう。また、ナショナル・ジオグラフィックの人気TVシリーズ「BRAIN GAMES」のホストとして活躍する未来学者/映像作家/写真家のジェイソン・シルバ氏がキーノートスピーチを行う他、民間女性で世界で初めて宇宙旅行をし、国際宇宙ステーション(ISS)へ滞在した経験のある実業家/エンジニアのアニーシャ・アンサリ氏のキーノートスピーチも予定されている。実業家としてIoTプラットフォームなどを手掛けるProdea Systemsを創業、そして資産家としてXプライズ財団に資金提供し民間による宇宙開発を支援する同氏からは、IoTから宇宙開発まで先進的な取り組みや新たなチャレンジについての話が聞けるかもしれない。
ちなみに宇宙開発といえば、2016年11月8日に日本で行われた「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016」では、SOLIDWORKSのユーザー事例として、堀江貴文氏が設立したロケット開発ベンチャーのインターステラテクノロジズの講演が行われた。こちらの模様はTechFactoryでレポート(国内ベンチャーが目指す「スーパーカブ」のようなロケット開発)が掲載されているのでそちらをご覧いただきたい。
こうした講演の他、展示パビリオンのカスタマーショーケースにおいても多数のユーザー事例、SOLIDWORKSを活用して生み出された先進的なプロダクトの数々が披露される。例えば、VRX Simulatorsのブースでは、レーシングシミュレーター「The iMotion Z-78」を展示。同製品の設計、改良、開発にSOLIDWORKSが活用されているという。また、輸送用コンテナをアップサイクルした植物工場「The Leafy Green Machine」を展示するFreight Farmsもユーザー企業の1社で、設計ならびにエンジニアリングプロセス全体を通じた統一ツールとしてSOLIDWORKSが用いられているとのこと。他にも高性能三輪自転車を製造するCatrikeの「The Catrike Dumont Performance Trike」や、スマート衣料を開発するTyme Wearの「Smart Clothing」など、製品設計・開発のさまざまなプロセスでSOLIDWORKSを活用して命を吹き込まれた製品を多数見ることができる。
そして、忘れてはならないのが最終日に行われるスニークプレビューだろう。会場のSOLIDWORKSユーザーが最も注目し、会場を大いに盛り上げる最終日の恒例行事である。スニークプレビューでは、毎年映画やドキュメンタリー番組を模した寸劇を繰り広げながら「次期バージョンに追加されるかもしれない新機能」が披露される。前回は映画『STAR WARS(スター・ウォーズ)』のパロディーを展開し、会場をわかせた。SOLIDWORKSは「イノベーションプラットフォームとして、ユーザーが必要とするものを提供する」ことを基本方針としており、これまでオンライン投票で寄せられたリクエストの約75%が実際にSOLIDWORKSの新機能として組み込まれているという。なお、2016年11月から国内販売が開始されている「SOLIDWORKS 2017」の注目機能については「より開かれた3次元CADへと進化した『SOLIDWORKS』――電気図面向け新製品も」をご覧いただきたい。
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そうした新機能や将来のSOLIDWORKSの方向性についてのヒントを、SOLIDWORKSブランドの最高経営責任者(CEO)であるジャン・パオロ・バッシ(Gian Paolo Bassi)氏は、「The SOLIDWORKS Blog」の中でこのように説明している(タイトル:The New. The Next. The Never Before.)。「『未来』、それはわれわれが最も真剣に取り組んでいるコンセプトだ。単にSOLIDWORKSの将来の機能という意味だけではなく、デザイン業界全体の将来を見据えて取り組んでいる。よりつながり、コラボレーション可能な、効率の良い手法を提供することで、次世代をも変えてしまうような素晴らしいプロダクトやイノベーションを生み出す流れの中へとユーザーを導いていける。SOLIDWORKS World 2017では、皆さんに未来を提示する」(バッシ氏)。
そして、ブログでは「会場でお届けする幾つかの話題」として、「設計と製造のギャップを埋める新たな手法」「CADの『A』、すなわちAided(補助)の部分の強化」「微細構造を使った形状構築や複雑な設計を効率化するアプローチ」といったキーワードを紹介している。
今回のSOLIDWORKS World 2017では、ユーザーの声に応えるSOLIDWORKSの新機能、前回のSOLIDWORKS World 2016で話題となったオンライン版(フルクラウド版SOLIDWORKS)や同じくWebブラウザベースのXシリーズ(Webブラウザベースの設計ツール「Xdesign」やクラウドストレージ「Xdrive」)に関するニュース、そしてさらに先を見据えた製品、ソリューションについても新たな情報提供があるに違いない。なお、同イベントの詳細については後日、TechFactoryで紹介していく予定だ。
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