製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力(7)
「Fusion 360」の現場導入、理想と現実【その2】(1/2 ページ)
個人ユーザーを中心に人気を集めるオートデスクのクラウドベース3D CAD「Fusion 360」。ホビーユースだけではなく、本格的な設計業務でも活用できるというが、果たして本当なのか? “ママさん設計者”として活動する筆者が、現場目線でFusion 360の有効性や活用メリットを探る。連載第7回では前回に引き続き、実際にFusion 360を導入した現場の状況を紹介する。
「Fusion 360」の現場導入の現実
前回紹介した「Fusion 360」の導入事例は、運用以前にオペレーターの育成を急ぐ必要がありました。現時点では若干残念な状況ではありましたが、「3D CADを導入しなければ、3D中心でモノづくりを学んできた若い人材に対して、働く場を提供できない」という危機感と、「現場をスピード感のあるスマートな環境に変えたい」という強い動機があっての導入であれば、違う結果になっていたかもしれません。
筆者の経験から言うと、操作方法を習得し、その後の社内教育により必要性と有効性をしっかりと共有できれば、Fusion 360の活用はきっとうまくいくはずです。
さて所変わって、今回まず取り上げるのは射出成形工場です。この会社にFusion 360が導入されたのは、前回紹介した会社とほぼ同時期のようです。この現場ではFusion 360をどのように活用しているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
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射出成形工場における「Fusion 360」活用
この射出成形工場では、成形機に金型を取り付けて型締めをした後に、溶かした樹脂を流し込んで製品を成形しています。規模の大きい成形メーカーでは、金型製作から成形品の製造まで自社で一貫対応するところもありますが、筆者が訪れたこの工場では製品を射出成形で加工するのみです。ですから、Fusion 360は“設計用途として用いられてはいない”ということです。
一般的に、成形条件やスクリューの中に充填(じゅうてん)する樹脂の体積を求めるためには、製品の図面が必要です。図面から製品の形状と寸法を確認し、使用する樹脂の密度を調べて製品の重量と体積を割り出します。この現場では、図面の代わりに製品のモデルデータとFusion 360のCAD機能を使って、これらの計算を行っています。
製品のモデルデータは、客先が作成して支給したものです。これは客先が使用しているCADの「生データ」であることが多いそうで、それが自社と異なるCADの場合、誰かがその生データを中間ファイルに変換してから展開する必要があります。
クラウドを使い、多様な生データを自動的に変換して展開できるFusion 360は、この場面でも役立っています。この現場では「Fusion 360を使うことで、データ変換に詳しくない作業者でも、安心してモデルデータを見ることができる」――。これがFusion 360を利用する最大のメリットだと考えているようです。
省力化機械や自動化ラインの設計現場での「Fusion 360」活用
さらにもう1社訪問してみました。こちらは省力化機械や自動化ラインの設計製作を一貫して行う会社です。事業内容から見て、3D CADが活躍しているのはいうまでもありませんが、その中でFusion 360はどのように活用されているのでしょうか。
この会社で生産される機械は汎用(はんよう)性がないので、客先の要求仕様に合わせてイチから設計します。設計は「SOLIDWORKS」が使われており、Fusion 360はSOLIDWORKSによる設計データを共有する目的で使われています。ここでクラウドベースの利点が生かされています。
社内外でのデータ共有に効果を発揮する「Fusion 360」
この会社での設計データの共有には「社内共有」と「社外共有」があります。社内共有の状況ですが、効果を生んでいるのが営業担当と設計担当間の共有です。営業担当は、以前はハイスペックなノートPCに3D CADを入れて打ち合わせに出向いていたそうですが、実際の打ち合わせ現場では3D CADまでの機能は必要ない場面が多いことから、現在はFusion 360のアプリケーションをインストールしたタブレット端末を使って打ち合わせを行っています。
Fusion 360のタブレット端末用アプリケーションは、3Dビュワーとしてプレゼンテーションに使えるだけではなく、アセンブリデータを呼び出してパーツリストを表示した上で、個々のプロパティを確認したり、設計者の編集履歴をリアルタイムで確認したりできる上に、そこへコメントを残してさらに共有することが可能です。それ以外にも、アプリケーションからモデルデータにリンクを付与できる他、画面のスナップショットを撮って、その場で客先に資料として渡すこともできます。
例えば、打ち合わせの成り行きでパーツの一部に設計変更が生じたとします。営業担当はその場でスナップショットに変更内容を書き込んで共有し、設計担当にコンタクトを取ります。そして、設計担当はモデルを編集してアップロード。営業担当は、更新されたパーツモデルをアプリで展開して客先に提示しながら、さらに打ち合わせを進める、という使い方もできます。
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製造現場でこそ使いたい! Fusion 360の魅力
個人ユーザーを中心に人気を集めるオートデスクのクラウドベース3D CAD「Fusion 360」。ホビーユースだけではなく、本格的な設計業務でも活用できるというが、果たして本当なのか? “ママさん設計者”として活動する筆者が、現場目線でFusion 360の有効性や活用メリットを探る。
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