SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2018
余った外貨を電子マネーに! 「ポケットチェンジ」の筐体設計を支える町工場
海外旅行で余った外貨を自国で使える電子マネーなどに交換できるサービス「ポケットチェンジ」。既に日本全国の空港や街中など約30箇所に設置されている同サービス端末だが、筐体設計に「SOLIDWORKS」がフル活用され、一部パーツは3Dプリンタで製造されているという。
「ポケットチェンジ」がSOLIDWORKS WORLD JAPAN 2018の会場に
海外旅行で余った外貨を自国で使える電子マネーなどに交換できるサービス「ポケットチェンジ」をご存じだろうか? まだ台数は限られるが、日本全国の空港や街中など約30箇所(2018年6月現在)にポケットチェンジ端末が設置されている。既に利用したことのある人もいるかもしれない。
これまで行き場のなかった細かな硬貨や中途半端な紙幣を電子マネーに交換できる、ありそうでなかったサービスを開発したのは、2015年創業のベンチャー企業、ポケットチェンジ(サービス名と同じ)だ。
都内近郊では羽田空港や成田空港に設置されている他、外国人観光客も多く訪れる新宿や渋谷の店舗などにも置かれているポケットチェンジ。今回、ソリッドワークス・ジャパン主催「SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2018」(東京会場/会期:2018年11月9日)の展示コーナー/浜野製作所ブースで、ポケットチェンジの実機を見ることができた(関連記事:バリアを壊すモノづくりに挑戦、「WHILL」が目指すパーソナルモビリティの未来)。
以降、簡単にサービス内容に触れるとともに、筐体設計、量産におけるポイントや浜野製作所との取り組みについて紹介する。
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交換できる通貨や対応サービスも充実、「ポケットチェンジ」のサービス内容
ポケットチェンジのサービスは、海外から帰国した日本人や訪日外国人を対象にしており、筐体のタッチパネルから表示言語を選択し、希望の交換先サービスを選び、余った紙幣および硬貨を投入(複数種類の紙幣、硬貨をまとめて投入可能)。後は、ディスプレイに表示された交換金額を確認して、確定すれば所望の電子マネーに交換できる。
対応通貨は円、米ドル、ユーロ、ウォン、元、香港ドル、バーツ、台湾ドル、シンガポールドル、ドンで、一部通貨は紙幣のみのサポートとなる。対して、交換先サービスも多岐にわたり、日本向けとしてはWAONや楽天Edyといった一般的な電子マネーの他、各種交通系電子マネーにも対応。さらに、Amazonギフト券などのギフト券、クーポン券にも交換可能だ。
ベンチャー、スタートアップを支援する浜野製作所
ポケットチェンジ端末の筐体は、タッチパネルディスプレイを搭載した緑色の券売機風デザインで、どこか昔の公衆電話をほうふつとさせる。実はポケットチェンジ端末の筐体の外装設計、そして内部の機構設計などに「SOLIDWORKS」がフル活用されており、内部で硬貨を集計する機構や硬貨の投入口などは3Dプリント製のパーツが活用されているという。
ポケットチェンジの筐体設計や加工製造(量産)に関しては、墨田区の町工場である浜野製作所が全面協力している。浜野製作所は本業に加え、メイカー、ベンチャー、スタートアップ支援などを目的としたモノづくり総合支援施設「Garage Sumida」を運営しており、起業やビジネス化の後押しをしている。
ポケットチェンジは、端末を開発製造するに当たり、サービス提供者としてのスピード感と柔軟性を大切にしながら、コスト削減にも取り組まなければならず苦慮していた。そこに協力の手を差し伸べたのが浜野製作所だ。
浜野製作所は、板金、プレス、機械加工のエキスパート集団であり、高い設計、開発力を有する。過去に映画館の自動券売機を手掛けた経験もあり、そのときのノウハウや知見を踏まえた設計、端末のメンテナンス性を考慮した設計に関するアドバイスなどをしながらポケットチェンジの開発に協力してきたという。
あえて使った3Dプリント製パーツ
前述の通り、実機パーツの一部を3Dプリンタで製造している点もポケットチェンジの特長の1つ。「われわれはベンチャーなので、新しいサービスを自由に試したり、作り替えたりしたいという思いがある。パーツなどを金型で起こしてしまうと、そういったスピード感などが失われてしまう。だから中の機構を含め、いくつかのパーツを3Dプリンタで製造している。コストは少しかかってしまうが、スピード感、自由度を重視するとなると3Dプリンタが最適な選択肢だった」(ポケットチェンジ 佐々木禄介氏)
一方、ポケットチェンジは不特定多数の人が使用することから、3Dプリント製パーツの耐久性に関して不安が残る。この点に関してはある種割り切っており、「1年、2年と使い続けていたらパーツがもたないだろう。たが、そもそもこのポケットチェンジ端末は設置してそのままほったらかしにするものではない。定期的に集金なども行うため、そうした際にメンテナンスを行い随時パーツを交換したり、新しいパーツにアップグレードしたりすればよい」(佐々木氏)。
開発当初はFDM方式の3Dプリンタ「Zortrax」でパーツ製造をしていたが、生産数も増えてきたことで今ではメーカーに造形を依頼するなどして対応している。そして、現在ポケットチェンジの開発に関心を示した大手3Dプリンタメーカーからの引き合いもあり、今後の連携に向けた本格的な協議なども進んでいるところだという。
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