Industrial Cybersecurity 2018
「産業システムのセキュリティ対策、課題は山積み」――カスペルスキーが警鐘(2/3 ページ)
ハッカーとエンジニア、両方のマインドで問題に取り組もう
Industrial Cybersecurity 2018の基調講演には、International Society of Automation(ISA)のMarty Edwards氏が登場。ICSが抱えるセキュリティ上の課題を挙げた上で「物事の問題を見つけ出すハッカーのマインドセットと、問題を修正するエンジニアのマインドセット、双方のいいとこ取りをして問題に取り組まなければならない」と呼び掛けた。
既にたびたび指摘されている通り、ICS/OTの機器は、脆弱性が見つかったとしてもIT機器のように頻繁にはアップデートできない。また、しばしば「エアギャップが防御になっている」といわれるが、実際にはメンテナンス用PCや無線といったつながる経路があり、実のところは「つながる世界」になっていることを踏まえ、対策に取り組まなければならないとした。
とはいえ、「特効薬があるわけではない」ともEdwards氏は述べた。ベストプラクティスに忠実に、リスクを分析し、優先順位を付け、「どこに入り口があるか、どうやればアクセスが得られるか、ハッカーのように考えて敵の手法を分析し、エンジニアとしてベストな解決策を、安全対策も考慮しながら緩和策を考えていかなければならない」(同氏)
Edwards氏が挙げたポイントは、優先順位を付けることだ。往々にして「あれも大事、これも大事、つまり全部大事」となりがちだが、「全てをやる、というのは何もしないのと同じこと。洗い出した上で自社にとって何が大事かを特定しなければならない」(同氏)
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教育を念入りに行う日本ですら被害はゼロではない
プレスカンファレンスで説明を行ったGoncharov氏は、「産業サイバーセキュリティにおける5つの神話」と題するセッションにも登場した。
同氏は、自ら行ったペネトレーションテストの結果を踏まえ、あらためて「エアギャップがあるから攻撃はあり得ない」という前提が崩れつつあることを強調した。IoTなどの技術面での変化に加え、企業買収などのビジネス的な変化に伴って「つながる」システムは増加しており、「ICSへのマルウェア感染でも、インターネットやメール経由のものが増えている」(Goncharov氏)
Goncharov氏はまた「人を訓練すれば何とかなるというのは、半分当たっているが、半分は当たらない」とも述べた。その証左として挙げたのが、日本の状況だ。
Goncharov氏は「日本の企業はしっかりとセキュリティに関するトレーニングを行っており、不審なリンクはクリックせず、不要なアプリケーションを安易にインストールしないよう意識付けられている」と言及。にもかかわらず、ICSシステムの24.4%がマルウェアに感染していることに触れ、「トレーニングを補う適切なツールの活用が不可欠だ」と述べた。
また、機械的な安全対策を実施していれば大丈夫かというと、それも当たらない。もちろん安全設計はICS運用に不可欠だが、その仕組み自体に脆弱性があれば元も子もない。それを示した例がTritonであり、「悪意ある攻撃者が安全システムを悪用する可能性も考慮に入れなければいけない」とGoncharov氏は語った。
もう1つポイントとして挙げたのはコンポーネントへの配慮だ。ITの世界同様、設計時からセキュリティを考慮する「セキュア・バイ・デザイン」に取り組み始めた企業もあるが、「製品に含まれるコンポーネントにゼロデイ脆弱性が存在する可能性はある。ものによっては数百、数千ものベンダーが関わることになり、その影響は大きい」(Goncharov氏)とし、サプライチェーン全体で脆弱性にどう向き合うかが課題だとした。
「世界をセキュアなものにするため、やるべきことはまだまだ山積みだ」(Goncharov氏)
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