Connected Industriesとサイバーセキュリティ
製造業も無縁ではないサイバー攻撃、経産省の見解と対策方針(1/2 ページ)
ものづくり白書において4分3の企業が「不安がある」と答えているサイバーセキュリティ。スマート工場などには欠かせないが、製造業における“つながる”は歴史が浅く対応は難しい。そこで経産省では指針となるフレームワークを策定、つながる事でのセキュリティリスクを低減しようとしている。
「つながる製造業」に求められるサイバーセキュリティ
「製造業もこれからはサイバーセキュリティが重要になる」
インダストリー4.0や製造業IoT、それにスマート工場などといった製造業における「つながる」ことが話題となり、サイバーセキュリティの重要さに言及されて久しい。実際、2018年5月末に公開されたものづくり白書(「平成29年度ものづくり基盤技術の振興施策」)においても、サイバーセキュリティについて4分3の企業が「不安がある」と答えている。
経済産業省が提唱している「Connected Industries」の意味するところは「目的を持ってつながる事で、新たな価値を生むこと」であり、取り組みの実行に際してセキュリティの確保は前提となる。しかし、製造業を対象にしたサイバー攻撃についてはIT業界に比べて実態の把握が難しく、具体的な対応策の立案もまだ不十分であると言わざるを得ない。
セキュリティサービスの提供を開始した東陽テクニカが、「Connected Industriesの実現と産業サイバーセキュリティ」と題したセミナーを2018年5月31日に開催。経済産業省 サイバーセキュリティ課の土屋博英氏(サイバーセキュリティ技術戦略企画調整官)が「サイバーセキュリティ経営ガイドライン及び産業サイバーセキュリティ対策の解説」と題した講演を行った。
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サイバー攻撃の被害、制御系の被害は「もう」1割
登壇した土谷氏は現状の確認として、2017年に猛威を振るったランサムウェア「WannaCry」や2016年に起きたサイバー攻撃によるウクライナの発電設備停止事故(Industyoyer/CrashOverRideの事例)などを紹介しながら、「米ICS-CERTの報告では、攻撃の1割が制御系まで到達している。これは“まだ”ではなく“もう”1割という認識でいる」と、サイバー攻撃の脅威は製造業にとって無縁ではなく、その危険性は高まっていると警鐘を鳴らす。
攻撃を受けた際にその事実が検知されてるまでの日数は世界平均で約100日であり、攻撃が巧妙化していることも土谷氏から語られた。この発覚までの日数について、日本を含めたアジア太平洋地域は他地域に比べて倍以上の時間がかかっており、巧妙化はもちろんのこと、「攻撃の検知そのものがかなり困難になっている」と土谷氏は解説した。
日本企業において自社の対策は進んでいるものの、委託先や調達先の状態は把握していないことが多く、製造業にとって欠かせない存在であるサプライチェーンがセキュリティホールになっているという。WannaCryについても、ある日本企業は海外企業からサプライチェーン経由で感染したことが分かっており、自社のみならずサプライチェーン全体としての対策が欠かせないとする。
欧米においてはサプライチェーンにおけるサイバーセキュリティ対策が、企業取引に対して要求されることが増えている。その範囲は現在、防衛やエネルギーなどの重要インフラにとどまっているが、土谷氏は「将来的にはセキュリティ要件を満たさない事業者や製品、サービスがグローバルなサプライチェーンからはじき出される可能性がある」と述べる。
サイバーセキュリティ政策の方向性
サイバーセキュリティについては事業所や企業単体での取り組みではなく、サプライチェーン全体での取り組みが重要であると解説する土谷氏だが、政府(経済産業省)としても企業の自助努力に頼っているだけではないと、サイバーセキュリティ政策の方向性を紹介した。政策は4つの指針から成り立っており、それは「産業政策と連動した政策展開」「国際ハーモナイゼーション」「サイバーセキュリティビジネスの創出支援」「基盤の整備」である。
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