コニカミノルタ事例
コニカミノルタが語る「故障予知からのビジネスモデル構築」その収穫と課題(1/2 ページ)
コニカミノルタが本格的なデータ活用に取り組んで1年半が経過し、故障予知から「顧客満足度UP」や「部品寿命の延長」といった成果を得るまでとなった。では、どうやって故障予知をビジネスに結び付けたのか、得られた知見と課題とは何か。製造業でのデータ活用はどのように進めるべきか、「SAS FORUM JAPAN 2018」にて担当者が語った。
コニカミノルタはオフィス向け複合機を中心とした情報機器事業を軸に、商業/産業印刷機器や医療診断機器などを展開する製造業であるが、売り上げの8割が情報機器事業であり、そこでの収益構造変化やデータ活用は大きな課題であった。
「SAS FORUM JAPAN 2018」にて、コニカミノルタの東立氏が、「コニカミノルタにおける予兆保全の取り組み~部品の寿命予測などを活用したサービス展開事例~」と題した講演を行った。壇上の東氏は開口一番、「予測、うまく行ってますか? 弊社もいろいろありまして(苦笑)」と聴衆を和ませながら、製造業である自社におけるデータ活用の取り組みについて語り出した。
◎「故障予知/予知保全」関連記事 ~IoT・AI活用、導入事例、課題~ など
» AIを活用した故障予知は課題も多く、緩やかなペースで進展
» AIによる予兆保全は2018年「成長期」へ
CPSを意識した分析基盤で「顧客の生産性」と「自社サービスモデル」を最適化
オフィスに複合機があることはもはや日常であり、その複合機が単純な機器販売ではなく、利用回数に応じたリース契約で設置されていることも珍しくない。オフィス用複合機という世界は既に製品を販売するビジネスモデルから、プリントやスキャニングなどのサービスを提供するビジネスモデルに転換しつつあり、コニカミノルタは製造業でありながらサービス業としての側面も重視せざるを得ない状況であった。
コニカミノルタが複合機の故障予知(予兆保全)に取り組んだ背景には、まさにこのビジネスモデルの変化と、加えて「複合機からのデータ取得はしていたけれど、活用できていなかった」(東氏)という、これまでは見過ごされてきた、いわば見えない機会損失があった。
ビジネスモデルは変わりつつあるが、データはある。そこでコニカミノルタは「顧客の生産性アップ」「サービス活動プロセスの改革」を目的に、蓄積された稼働データを用いた、新たな取り組みに着手する。
コニカミノルタの複合機は南極大陸を除く全ての大陸で稼働しており、100万台規模の機械が毎週(時には毎日)稼働データを生成していた。そこで現実空間とサイバー空間の関係性についてはCPS(Cyber Physical System)を意識し、加えて、世界中から寄せられるデータを効率よく分析するために時差を考慮した4地域の仮想環境を設け、止まらない分析基盤を作成した。
◎プレミアムコンテンツ(製造IT):
» 自動設計環境の構築に向けたエリオットグループの取り組み
» パナソニックが次に取り組む量産化技術
» 【調査資料】「カイゼン」を中心にデータ活用が進む製造業、課題はROIと人材
» モノ主導からニーズ駆動へ、「Lumada」を源泉とした日立製作所の事業創造
» DMG森精機の「CRPプロジェクト」が推進する日独統合
データ分析基盤が構築されたところでまず、東氏らは部品交換時期についての現状を調査した。その結果、仕様値に達した「定期交換時」と、問題が生じた「クレーム発生時」の2つが主なタイミングであり、「定期交換時期を過ぎてクレームが発生する前」の部品交換が最も効率的であると判明した。
最適な部品交換タイミングを得るため、分析の枠組みを「予測値」「予測対象期間」「変数参照期間」「予測頻度」を機種/部品別に定義した。ここに至るまでのモデル作成にはさまざまな議論があったというが、東氏は「カウンター(印刷枚数など)のみで作成したモデルでは的中率に改善が見られず、センサー情報(湿度や温度、電流、電圧など)を加えることで的中率が向上した」と、オフィス内という比較的安定している環境であっても、実環境がデータに及ぼす影響は大きいと語る。
ここまではいわゆる故障予知の考えに基づく最適な部品交換タイミングを計るまでの取り組みであり、データ活用の目的の1つ目である「顧客の生産性アップ」に結び付くものである。コニカミノルタではこれ加えて部品費や訪問サービス費、部品/製品の寿命、クレームによる訪問、定期訪問の回数などを変数にしたシミュレーションを行うことで、目的の2つ目である「サービス活動プロセスの改革」もあわせて実現したのだ。
「これまでは複合機を長時間利用してもらうほどクレームは増えていったが、今回の取り組みでその抑制に成功した。さらには、顧客に使い方を反映したモデルを適用することで部品寿命を延ばすことにも成功し、部品寿命の延長にも成功した」(東氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
特集(製造IT)
「製造IT」をメインテーマに、モノづくり関連セミナーのレポートやインタビューなどを多数掲載。製造現場の課題解決やカイゼン、意識改革に向けた第一歩を踏み出すためのヒントを提示します。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー