コニカミノルタ事例
コニカミノルタが語る「故障予知からのビジネスモデル構築」その収穫と課題(2/2 ページ)
モデルを作り込めば良いと思っていた
こうしてデータを利用した「顧客の生産性アップ」「サービス活動プロセスの改革」を実現したコニカミノルタであるが、東氏は「最初はソフトウェア開発と同じように、モデルを作り込めば作り込むほど精度が向上していくと考え得ていたが、そうではなかった」と着手当時の考えは浅慮であったと語る。
「自分たちは製造業なのでデータ取得の技術開発を別プロセスでまわし、そのあとにビジネスとデータの理解をした上で、モデルを作成していった。これは機械学習的にデータを処理するアプローチだが、そこにSASのコンサルティングによって統計学的な評価を加えることができたのは大きな前進だった」(東氏)
東氏はこう述べ、「製造業的なアプローチ」だけでは前進が難しかったと認める。その上で「自分たちに合ったプロセスが必要」と、結果やそこに向かうモデルの作成も重要ながら、「どうやってそこにたどり着くか」のプロセスがさらに重要であると体感できたことが、今回の取り組みで得られた教訓であるとする。
工数の3分の1はデータ分析と理解
そのプロセスの重要性を説く中で東氏が述べた際に象徴的だったのは、「データの分析と理解で、工数の3分の1を使った」というくだりだ。
データ活用の取り組みが製品開発部門だけで行われれば、技術的なトピックを追いがちになりビジネス的な視点が不足する。この課題にはサービス部門がテーマ検討の段階から参加することで対応した。また、統計的に説明変数を選ぶと「本質的には同じもの」が重複するという課題に対しては、開発部門が参加してのスクーリングが有効な手段となった。
目的(今回は「顧客の生産性アップ」「サービス活動プロセスの改革」)を達成するため、手段となる「データをどう分析して理解するか」を自社組織にあわせたプロセスに落とし込み、データの分析と理解に十分な手間と時間をかけ、全社的な活動として推進していくことが成功へのカギであるという。ただ、「時にはモデル開発を延期、あるいは方向性を修正する勇気が必要」と猪突猛進に進むことだけが方法ではないと東氏は自戒を込めて話した。
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どうやってコニカミノルタはデータ活用を成功させたのか
ここまで成功したデータ活用の取り組みを紹介してきた東氏だが、2017年にデータサイエンス活用の方針がトップダウンで発表された際、「社内はお祭り騒ぎ」であり「類似テーマの乱立」や「見込みのないテーマが発表されて放置される」といった、事業収益化とは程遠い状況が半年ほど続いたという。
こうした狂騒が落ち着きを見せた頃にようやくテーマの棚卸しが行われ、有望視されたテーマについては開発/サービス/販売の3部門が世界規模で連携する体制作りが始まった。取り組むべきテーマと体制が整ったことになるが、それでも「データが想定通り取れていない」「コンサルティングとして入ったSASとの間に“通訳”が必要」「そもそも設定した課題が難しすぎた」「プロセスが定まらない」などの問題が山積した。
そうした中であったが、オフィスプリンタ向けに経済効果の出るデータ活用モデルの開発に成功する。最初の成功体験であるが大々的にアピールすることはせず、当初は限られた販売会社で導入してもらい、「顧客満足度の向上」「部品使用期間の延長」という販売会社にとってのメリットを実感してもらう作戦に出た。
作戦は当たり、効果を体感した販社が他の販社に話を進め、その販社がまた……というプラスの連鎖が生まれた。それに並行し、経営会議での提案や社内発表会でのアピールなどを通じて経営層を巻き込む活動を行った。そうしてコニカミノルタにおけるデータ活用の取り組みは軌道に乗り、自社としての手法(プロセス)も確立されてきたために開発期間も安定し、判断基準も確立された。
そして現在。東氏が課題として認識しているのが、「交換頻度の少ない部品のモデル化」「市場データが蓄積されるまでの対応(新製品は稼働時間/稼働データが少ないのでモデルを作りにくい)」そして「社内の人材育成」だ。
交換頻度の少ない部品のモデル化と市場データが蓄積されるまでの反応については、これまでとは違ったプロセス作成やデータ収集手法が必要になる可能性があるため、一朝一夕の解決は望めないが、人材育成は着手すれば着手した分の反応がある領域であるためコニカミノルタとして注力領域であるという。
人材育成について具体的には社内講座の充実(現在は5講座を運営)やデータサイエンティストの認定制度を進めているほか、実践の場としてのコンペ参加、社内コミュニティー運営などを通じて、データドリブン文化の醸成に努めている。こうした活動を通じ、東氏は今後、部品や製品だけではなくサービスオペレーションの改革(リモートサービスの拡張、サービスエンジニアの行動最適化)やモデル開発プロセスの他事業展開などにも取り組んでいきたいと述べた。
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