コニカミノルタジャパン
「親会社の物を売るだけではダメだ」躍進はコト売りの事業改革から
「親会社の物を売るだけではダメだ」。発足して1年が過ぎたコニカミノルタジャパンの原口社長は危機感を露呈する。Workplace Hubなど新製品販売を予定するが、機能ではなく「コト」を売る企業としての存在感発揮を目指す。
複合機を中心とした情報機器事業と医療診断機器を主力とするヘルスケア事業、いずれも「モノ」を販売するこの2領域で事業を組み立ててきたコニカミノルタジャパンが「コト」売りの比重を高めようとしている。
代表取締役社長の原口 淳氏は2017年6月27日に開催した事業方針説明会にて、事業スタイルの変革などで「2020年度の売り上げ2000億円」を目標にすると述べた。
親会社が作ったモノを売っているだけではダメだ
2016年4月にコニカミノルタジャパンへと商号を変更してから1年が経過した現状について、原口氏は「(コニカミノルタの)100%子会社であるが、親会社が作ったモノを売っているだけではダメだ。グループに対する業績責任はあるが、独立した事業会社としての意識を持たなくてはならない」と危機感を示す。
親会社であるコニカミノルタは新中期経営計画「SHINKA 2019」にて、従来の製品分野別事業体制から、全社を挙げてさまざまな顧客の潜在的課題を先取りし、顧客とともに解を創出するような事業体制になることを目指している。いわばモノ売りからコト売りへのシフトである。これを受け、日本国内での市場展開を担うコニカミノルタジャパンは事業領域を製品ではなく、提供する価値で分類した。
具体的には「働き方変革支援」「医療・介護向けサービス」「計測・サービス画像データ解析と利活用サービス」「デジタルマーケティングサービス」「デジタル印刷の活用・拡大」の6つと定め、コト売り企業としての存在感発揮を目指す。
2020年度の目標として売り上げ2000億円を設定するが、その過半を占めるのが「働き方改革支援」を実現するための情報機器事業である。これには各種ICTインフラや最適化ツールの提供、コンサルティングなどが含まれており、その中核として期待されるのが2017年3月に発表したIoTプラットフォーム「Workplace Hub」だ。
Workplace Hubはサーバ付き複合機を中核として、企業のITインフラを統合/管理できるプラットフォームである。さまざまなデバイスの一元管理を可能とする「ADMIN DASHBOARD」、社内外のユーザーをつなぐコラボレーションツール「TEAM PLACE」、オフィスのIT基盤となる「ITインフラストラクチャー」、IT環境の管理に用いる「マネージドITサービス」の4つを中核とした機能を提供する。
小規模なオフィスであっても1台はある複合機にITシステムの管理機能を持たせれば、情報システム部の人員不足に悩む企業の解決策として有効であるというコンセプトだが、「非常に多機能な複合機」として認識されてしまい差別化につながらない可能性もある。
原口氏も「Workplace Hubは汎用(はんよう)製品だが、理解されにくいと思う」とその可能性を認識しており、「分かりやすさのため、ユースケースに応じた仕立てが必要になるだろう」とコト売りには見せ方も重要であるとする。Workplace Hubは2017年秋の正式リリースを予定しており、1つのユースケースとして原口氏が紹介したのが、「建築業界の現場事務所」だ。
事務所では建築現場で必要となる図面や写真、作業表といった多種多彩なドキュメントが日々更新され、資材や入退勤など労務の管理も行われる。いままで紙の台帳やノートPCなどで行っていたこれらをWorkplace Hubの導入で効率化する。Workplace Hubを導入すれば、監視カメラを接続してのセキュリティ構築や作業員が持つスマートデバイスの管理も行える。
こうした例を顧客へ示せるよう、教育や小売り、不動産といったさまざまな業種に合わせたユースケースを作り込み、分かりやすく「働き方の改革を支援するツール」としての魅力を伝えていく。主なターゲットとするのは100人程度までの中小事業所で、これは大規模オフィスに導入されているシステムに比べ、Workplace Hubが「少人数の事業所でも導入でき、効果を出せる」(原口氏)特徴を持つからである。
Workplace HubについてはWorkplace Hubというモノに価値を設定されているのではなく、「働き方改革支援」の実現ツールとして位置付けられている。働き方改革支援という価値がどこまで受け入れられるかは未知数であるが、今後、大きな伸びが見込めない印刷機需要をカバーする存在として大きな期待がかけられている。
コニカミノルタジャパンでは2020年度の目標である売り上げ2000億円のうち、この情報機器事業で1000億円を見込んでおり、ヘルスケア事業で600億円、計測機器や画像処理技術を提供するセンシング事業で50億円、ネットワークカメラ「MOBOTIX」などを含む新規事業で300億円の売り上げを目指す。ヘルスケア事業については「商材が充実し、チャンスが来たように感じている。時期の明言はできないが、1000億円を達成する自信がある」(原口氏)と自信を見せた。
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