日立産業制御ソリューションズ
ITとOTの融合が進む中、「オープン化」と「囲い込み」のかじ取りは
日立産業制御ソリューションズが事業方針説明会を開催した。火力発電事業など制御畑を歩んできた木村社長だが、「ITとOTの融合を進めるのがミッション」と方針を語る。
日立製作所グループにて、産業機器関連事業の中核を担うのが日立産業制御ソリューションズである。同社は日立製作所の産業分野向け情報制御システム事業部門、セキュリティシステム開発設計事業部門、プリント基板製造事業部門、及び、グループ企業5社が統合され2014年に発足した企業であり、取締役社長の木村 亨氏は火力発電事業などで制御畑を歩んできたOT(Operation Technology)のスペシャリストだ。
日立産業制御ソリューションズ自体も自動車や医薬品の製造管理、プラントエンジニアリング、交通インフラなどの事業に強みを持つOT色の強い企業であるが、木村氏は2017年6月16日に開催した事業方針説明会にて、OTの強さを伸ばすよりも「ITとOTの融合を進めるのがミッションだと考えている」と方針を語った。
QCDからVPT(Value、Price、Timing)へ
技術面から見れば、日立産業制御ソリューションズのコア技術はシステム制御や画像解析、組み込み開発などといえる。それらを生かす領域として「産業ソリューション」「セキュリティ・画像ソリューション」「システムエンジニアリング」「組み込みエンジニアリング」の4領域にて事業を展開しており、2016年度の売上高は775億円に上る。
しかし、産業領域においてはインダストリー4.0やSociety 5.0などのキーワードの台頭が示すようデジタル技術による革新が急速に進んでおり、それに伴っていわば「モノ売りからコト売りへのシフト」も進み、同時に競争相手も変化している。
この急速な展開について木村氏は、自社としても「設備や製品を納めるから、経営への寄与への変化が重要であると考えている」と語り、いままでの金科玉条であった「QCD(Quality、Cost、Delivery)」すらも「VPT(Value、Price、Timing)」に変わるべきだと意識変化の重要性を訴える。
そこで軸になるのが、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」だ。Lumadaはデータの統合や分析、それにシミュレーションから知見を得るソフトウェア技術などで構成されるIoTプラットフォームであり、自社内にOTとIT、それにプロダクトシステム(製品)の3つを持つ日立グループ各社にとって、この3要素をつなぐ存在となる。
日立産業制御ソリューションズにおいても、「産業ソリューション」「セキュリティ・画像ソリューション」「システムエンジニアリング」「組み込みエンジニアリング」の4領域事業を単独で成長させるのではなく、OI×IT×プロダクトシステムの考えをもって事業横断による価値提供を行い、「課題解決企業」としての成長を目指す。
その1つの具体例として木村氏が示したのが、2017年度より本格提供を開始したスマート工場ソリューション「Σ-Factory」である。これは生産現場をデータ発生のエンジンと見なし、OTのMES(Manufacturing Execution System)、ITのビッグデータ解析、プロダクトの「SmartFAM」(設備管理システム)を組み合わせ、顧客に「品質向上」「生産性向上」といった価値を提供するものだ。
それぞれは個別に提供されてきた実績を持つものであるが(正確に言えばSmartFAMは新製品「SmartFAM/Monitor」を内包しているため既存品と同一品ではない)、組み合わせて提供することで、製品(モノ)ではなく価値(コト)の提供とする。「プロダクトの売り切りではなく、顧客に入り込むことが大切になると考えている。プロダクトアウト型の発想から転換し、経営者に対しての課題解決を提供したいと考えている」(木村氏)
組み合わせて新しい価値を生む手法はΣ-Factoryだけではない。360℃カメラを複数台利用する稼働状況収集システムの「VSIP」は、OTの作業員動線/行動管理とITの画像解析技術、プロダクトの監視カメラを組み合わせ、俯瞰映像によるライン監視だけではなく、従業員の作業状況も確認し、業務改善を支援する。
重視されるオープンの流れ
個別の製品販売から価値の提供、既存事業領域の掛け合わせに取り組みをシフトすることで、同社は2018年度に820億円の売上を目指す。しかし、「価値の提供」「課題の解決」を掲げる場合、自社の製品やサービスでは課題解決に適さないという結論となる得ることも想定される。
この「囲い込みかオープンか」の問題に対して、木村氏は「日立グループとの連携、パートナリングというテーマの取り組みも始めていく。それにグローバル化を意識すると、日立グループの製品やサービスで固めていくというより、オープン化の方向も重視していかなくてはならないだろうと考えている」とあくまでも課題解決が優先であり、日立色が薄まることも辞さない姿勢を示した。
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