TechFactory通信 編集後記
「ポルシェ959」など旧車の希少パーツを3Dプリンタで
メーカーとユーザーの思いをつなぐ取り組み。
いまさら言うまでもありませんが、ここ数年、多品種少量生産やマスカスタマイゼーションに対するニーズの増加を受け、単なる試作の枠を超えた、3Dプリンタによるモノづくりに注目が集まっています。
2018年2月14~16日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「3D Printing 2018」では、多くの企業や団体がブースを構え、来場者に自社製品やサービス、ソリューションの提案を行っていました。その中心は個人向けではなく、産業分野向けであり、“3Dプリンタブーム”に左右されず着実に進化してきた技術の数々を見聞きすることができました。
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「ポルシェ959」など旧車の希少パーツを3Dプリンタで
これまで試作を中心に活用されてきた3Dプリンタ(RP試作)ですが、ハイエンドの工業用3Dプリンタや材料開発が進んだことで、最終製品やその一部(パーツ)を直接製造できるまでになりました。実際、3D Printing 2018の展示会場でも、ハイエンド3Dプリンタによる受託製造サービスを展開する企業などが、“直接製造”を意識した造形サンプルをいくつも展示していました。
金属3Dプリンタ(金属積層造形)に関しては、航空宇宙分野といった“数量の出ないパーツ”の直接製造に適しており、活用が進んでいます。最近では、CADベンダーがこぞって研究開発を進めている「ジェネレーティブデザイン」がその勢いを後押ししており、耐久性と軽量化の両立を実現するパーツ製造が実現可能になりつつあります。
こうした新しいトレンドとともに、3Dプリンタが活躍する注目の領域があります。それは、アフターマーケットです。既に生産終了している製品の保守や修理に3Dプリンタを活用するというわけです。比較的新しい製品であれば3Dデータがあるかもしれませんし、そうしたデータのないものでも3Dスキャナーなどを活用すれば、比較的短期間にスペアパーツの製造、修理などが可能かと思います。
在庫という面でもメリットがあります。3Dデータさえあればいつでも3Dプリンタでパーツを製造できるため、倉庫などに修理パーツの在庫を大量に抱える必要がありません。また、パーツのカスタムを含めて3Dプリンタによるパーツ供給を展開すれば、アフターマーケット向けのサービスとして、付加価値をユーザーに提供できるでしょう。こした取り組みは、ファンや愛好家を大切にするという企業イメージや製品のブランド力向上にもつながります。
最近では、Porsche(ポルシェ)が希少なクラシックカーの愛好家向けに、旧車種のパーツの一部を3Dプリンタで製造して供給することを発表しました。例えば、「ポルシェ959」などは292台しか生産されておらず、そもそもスペアパーツを求める人の数は非常に限られています。少量のみ必要とされる希少パーツを従来の製造方式で再生産するのは非効率です。ここは3Dプリンタが適任といえるでしょう。
現在ポルシェでは、品質と機能面の試験をクリアした8種類のクラシックパーツを3Dプリンタで製造、供給しているそうです。今後、さらに取り扱いパーツ数を拡大すべく試験を行っている最中だといいます。
「自分たちが作ったモノを長く愛用してもらいたい」というメーカー側の思い、そして「良いモノを長く使いたい」という消費者側の思いに応える、非常に良い取り組みだと思います。自動車に限らず、いろいろなメーカーがこれに続くといいですね。
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「モノづくり総合版 TechFactory通信」に掲載された、TechFactory担当者による編集後記の転載記事一覧です。
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