ワイヤレス通信アセスメントサービス
操作端末のタブレット化が新たな侵入経路に!? ワイヤレス通信に潜む危険性(1/3 ページ)
PwCサイバーサービスは、Wi-Fiや特定小電力無線などの“ワイヤレス通信のセキュリティリスク”を調査および検証する「ワイヤレス通信アセスメントサービス」の提供を開始。一連のアセスメントを通じて、ワイヤレス通信におけるセキュリティ対策の課題を明確にし、適切な対策を促したい考えだ。
PwCサイバーサービスは、Wi-Fiや特定小電力無線などのワイヤレス通信のセキュリティリスクを調査および検証する「ワイヤレス通信アセスメントサービス」の提供開始を発表した。同サービスは、同社のセキュリティ専門家がワイヤレス通信の利用状況を現地調査し、収集した情報を分析することで、十分なセキュリティ強度を確保できているかどうかを検証するものだ。
ワイヤレス通信の暗号化規格や認証方式、接続設定などの把握に加え、使用されないまま放置されているアクセスポイント(AP)の抽出、電波の到達範囲の調査なども実施する。一連のアセスメントを通じ、セキュリティ対策における課題を明確にする狙いだ。
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制御システムの安全神話は既に崩壊している
国の重要インフラに指定されている電気、ガス、水道などのライフラインや航空、鉄道などの交通機関、工場の生産ラインなどのOT(Operational Technology)環境は、基本的に外部ネットワークから遮断されているケースが多いため、IT(Information Technology)環境よりも比較的安全と考えられ、これまで積極的なセキュリティ対策が実施されてこなかった傾向にある。
しかし、近年IT環境のセキュリティが強固になる中、新たな標的としてOT環境へのサイバー攻撃が増加している。その際、ワイヤレス通信環境が侵入経路となる危険性もあり、盗聴や不正アクセスによる重要情報の窃取、通信妨害や機器の不正操作による機能不全など、深刻な事態に発展しかねないセキュリティリスクが顕在化しつつある。
日本では近く、大規模な国際スポーツイベントが予定されているが、過去を振り返ってみると、こうしたイベントに併せてサイバー攻撃が仕掛けられるケースもあり、実際に被害も報告されている。PwCサイバーサービスは、同サービスの展開により、セキュリティ確保が急務となっている重要インフラおよび制御系システムにおけるセキュリティ対策を推進する方針だ。
同サービスの説明会(2018年2月5日)で、PwCサイバーサービス 最高執行責任者の星澤裕二氏は「ワイヤレス通信を狙ったサーバ攻撃の現状」について説明。制御システムの多くは、独自のハードウェア/ソフトウェアを使用し、分離されたネットワーク上で運用されていることなどから、サイバー攻撃を受けにくいという“安全神話”が根強く浸透している。しかし、前述の通りOTへのサイバー攻撃は増加傾向にあるため、「既に安全神話は崩壊していると思われる」と星澤氏は指摘する。実際、世界を見てみると制御システムが狙われ、サイバー攻撃による被害が発生したという事例が複数報告されている。
クローズドネットワークが抱えるリスクを浮き彫りに
また、同社は疑似的なサイバー攻撃を実行する「レッドチーム演習」を実施し、その結果を踏まえ、リスク管理が破綻しているケースの一部を紹介した。レッドチーム演習では、レッドチーム(攻撃側)とブルーチーム(守備側)に分かれ、サイバー攻撃に対してのリスクを評価したり、脆弱(ぜいじゃく)なポイントを割り出したりする。この演習を通じ、
- 制御システムネットワークがさまざまな外部組織やシステムと連携する
- 過去に大規模なマルウェア感染を引き起こした組織のシステムとつながっている
- メール受信可能な端末が多数存在する
- OA端末からワンホップで制御システムにアクセスできる
- OA端末側でUSBメモリの利用を許可していないのに、OT側では利用している
といった、クローズドネットワークが抱えるリスクなどが浮き彫りとなり、「情報システムから制御システムへ侵入できる可能性が示された」(星澤氏)という。
汎用ワイヤレス通信の危険性
さらに、星澤氏は「システム連携や汎用(はんよう)化が進む中、外部からの侵入などのセキュリティリスクが顕在化しており、安全性を前提としたセキュリティ対策の遅れがリスクを拡大している」と指摘。具体的には、基幹システム(CIMやSCMなど)連携による情報システムネットワークからの侵入リスクや、端末の汎用化によるUSBメモリなどの外部記憶装置からのマルウェア感染リスクである。だが、これらの攻撃に関しては、比較的事例も多く、対策が進みつつある。
星澤氏が警鐘を鳴らすのは、操作端末のタブレット化による汎用ワイヤレス通信の利用だ。この汎用ワイヤレス通信からの侵入リスクはまださほど認識されておらず危険な状態だという。星澤氏は「このような未対策経路を狙った攻撃は企業などでも十分に起こり得る。こうしたサイバー攻撃のリスクを未然に防ぐために、われわれはワイヤレス通信アセスメントを提供している。まずはその危険性に気付いてもらい、適切な対策を促していきたい」と述べる。
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