パートナー連携によるNFVで実現
IoTセキュリティはデバイス防御のみにあらず! 「分散連携防御」という考え方(1/2 ページ)
リソースの限られるIoTデバイスは、一度運用を開始するとアップデートもままならず、セキュリティリスクが残ってしまう。そのため、運用開始後に脆弱性が見つかった場合、IoTデバイスが悪意ある第三者の管理下に置かれ、大きな被害をもたらす可能性もある。こうした状況を打破する最良のアプローチは何か? それは「IoT機器のセキュリティをデバイス単体で考えること」から脱却することだ。その考え方を紹介しよう。
IoTデバイスの多くは非力な処理能力、限られたメモリ、細い帯域で活用されるものだ。一度運用を開始したらアップデートもままならず、結果的にセキュリティリスクが残ってしまう――。狭義のIoTでは、そのような厳しい状況に置かれている。
万が一、運用開始後にデバイスの脆弱(ぜいじゃく)性が見つかった場合、インターネット上に大量に配置されたIoTデバイスが悪意ある者の管理下に置かれてしまい、罪のないサーバに攻撃の牙を向ける。このような「DDoS攻撃」は、IoTデバイスを展開する利用者が被害者になるだけでなく、攻撃に加担することで加害者にもなってしまう。通常のPCのように、セキュリティ対策ソフトをインストールすることも難しいため、セキュリティリスクを懸念してIoT展開をちゅうちょしてしまうという事態も考えられるだろう。
この状況を打開する方法はあるのだろうか。それは「IoT機器のセキュリティをデバイス単体で考えること」からの脱却が必要だ。IoTを展開する意味を再度考え直し、デバイス防御以外の方法を用いることで、システム全体をセキュアにすることが可能だ。その方法と考え方を、トレンドマイクロ IoT事業推進本部 ソリューション推進部部長の津金英行氏に聞いた。トレンドマイクロだけでなく、パートナーとともに推し進めている、ある考え方とは――。
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本当に守るべきは「データ」、ならばデバイスだけでなく……
攻撃者にとって、IoTデバイスは格好の狙い目といえる。似たような仕様の機器がインターネット上に大量に存在し、それらの多くはアップデートも難しい。そうした状況の場合、単一の脆弱性を突くマルウェアが野に放たれれば、多くのIoTデバイスが一気に感染する可能性がある。
例えば、2016年に話題となったマルウェア「Mirai」では、ランダムにIPアドレスを指定し、telnetでログインを試みる際に、機器にデフォルトで設定されていた「ありがちなパスワード」に対して辞書攻撃が行われた。IoT機器を悪用するDDoS攻撃は年を追うごとに規模が大きくなっている。まずはこの現状を何とかする必要がある。
対策を考えるために、「IoTとは何か?」をもう一度分解してみよう。今回取り上げるIoTとは、IoTデバイスから収集したデータがネットワークを経由し、コントロールセンターに集約。そのデータをデータアナライザーで分析し、IoTデバイスやシステム全体の制御や指示に使うというものだ。
ここでのポイントは、IoTデバイスのデータは必ず「ネットワーク」を経由し、コントロールセンターに集約されるということだ。そして、本当に守るべきものは、その中で循環する「データ」であるはずだ。そこで、デバイスを守ることに加えて、「ネットワークでデータを守る」ということが考えられる。万一、デバイスが感染しても、ネットワークで「感染活動を止める」仕組みを持ち、拡散しないようにするという方法が考えられる。
コントロールセンターやデータアナライザーは、クラウド上で実装されている場合もあるだろう。まずは「デバイスだけでなく、ネットワーク、クラウド/オンプレミスのセンターでIoTを守る」という、新たなセキュリティアーキテクチャを考えていくべきなのだ。
パートナーとともに機能を融合、柔軟に「使いたいだけ」使える仕組みを
このために必要な考え方として、これまでのIT環境で推し進められていた「多層防御」をさらに進め、エンドツーエンドで必要なセキュリティレベルを確保しつつ、リソースを最適化する「分散連携防御」が考えられる。これはデバイス、ネットワーク、コントロールセンター、データアナライザーの各層において必要なセキュリティ機能を分散配置し、必要なときに、必要な場所で、必要なだけセキュリティ機能を利用するという仕組みだ。
この仕組みを取り入れるためには、必要なときに、必要な場所で、必要なだけセキュリティ機能を利用できる「柔軟なネットワーク」が重要になる。これはいわゆるSDN(Software Defined Network)やNFV(Network Functions Virtualization)ベースの通信インフラの発展系といえよう。
トレンドマイクロにおいては、侵入防御、Web脅威対策、アプリケーション制御といった基本的なセキュリティ機能を、クラウド上の仮想化ネットワークで提供する「セキュリティVNF(Virtual Network Function)」の提供を行っている。機能は順次追加予定で、これまでのセキュリティ技術やインテリジェンスを仮想化ネットワークセキュリティとして提供するというものだ。
とはいえ、セキュリティベンダーだけでは分散連携防御は実現できず、各レイヤーにおけるパートナーとの協業が必須だ。トレンドマイクロは、ネットワークソリューションベンダーのIIJとともに、SDN/NVF次世代ネットワークセキュリティの実証実験を行っており、「Hybrid CPE(Customers Personal Equipment)」の研究を行っている。これが実現すると、これまで企業内に配置していたようなネットワーク/セキュリティ機器をクラウド側に動的に配置することが可能になり、オンプレミスに設置した機器と協調しながら分散配置が行える。このような仕組みをIoTで活用することで、より柔軟な機能を選択し、ネットワークとともにシステムを守ることが可能だ。
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