IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質(6)
上流工程の品質活動でソフトウェアの品質は向上するのか(3/6 ページ)
設計レビューで予測する品質の未来
ここでは上流工程のうち、設計工程にスポットを当てる。設計工程における一番のイベントとして設計レビューがある。この設計レビューで、将来の製品品質とプロジェクト品質を予測し、今後の品質活動の指針とする。
将来の品質を予測する
設計工程ではアーキテクチャから詳細まで、各粒度の設計を行う。そして設計の妥当性を確認するために、各段階においてレビューを行う。
設計レビューは前回紹介したコードレビューと同様な形式で行うが、コードレビューと比較して、全体的・未来的・抽象的な話が多くなりがちであり、部分的・現実的・具象的なコードレビューとのバランスを取る必要がある。どちらに偏ってはいけない。
設計レビューに楽天家が集まれば、夢物語のような仕様や実装が出てきて取り留めなくなり、悲観論者が集まれば、欠点ばかり指摘され、嘆き悲しみ葬式のようになるか、怒鳴り合い場になる。メンバーにもバランスが必要である。
また、場慣れし過ぎたレビュワーがいるとレビューは現実主義になりやすい。簡単な修正で済むような欠点しか指摘せず、暗黙的な調和を目指す雰囲気になる。もっと端的に言うと、大きな変更を望まない空気が場を支配し、打開策のありそうな指摘ばかりになりがちである。もちろん、これは良くない。
設計レビューで出てきたコメント(指摘)の件数や重要度を分析し、この結果から、現在までの製品品質やプロジェクト品質を評価し、将来の品質を予測する。例えば、レビューでの指摘件数が異常に多ければ行く末を危惧すべきだと予測する。もちろん、危惧ばかりしていてはダメで、その対策を練って即座に実施する必要がある。
将来の品質予測をするには、品質予測モデルを構築する必要がある。予測モデルにはいろいろあるが、完全な予測モデルはない。
品質予測モデルあれこれ
ここでは設計レビューの指摘の件数や重要度などから、将来のプロジェクトや製品の品質を予測する「モデル」を見ていく。
- (1)しきい値モデル
測定値が下限のしきい値と上限のしきい値のどこにあるかで予測するモデル。例えば、設計図当たりのレビュー指摘件数(レビュー指摘密度)が下限値と上限値の間にあれば、製品やプロジェクトの品質も問題がなく、またレビューそのものの品質も問題ないと予測する。逆に下限値を下回っていれば、製品品質が良いと判断するのではなく、レビュー品質が悪いと判断する。上限値を上回っていれば、製品品質が悪いと見なす。
- (2)ゾーンモデル
複数の測定値により、ゾーンに分割する。閾値モデルは1個の測定値による1次元のゾーン分析といえるが、ゾーンモデルは2個以上のn個の測定値により作られるn次元空間をゾーンに分割して、各ゾーンで品質を予測する。例えば、レビュー対象の規模とレビュー指摘密度の2個の測定値から2次元空間(平面)上で規模別の予測を行う。大規模なときはレビュー指摘密度が小規模よりも低くても警鐘を鳴らす。
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IoT時代の組み込み系ソフトウェア品質
組み込みソフトウェアにおける「品質」とは、一体、何者であろうか。多用されている言葉であるがその実態はようとしてしれない。この連載ではIoT時代の組み込み系ソフトウェアの品質」をテーマに開発現場の目線で見ていく。出演者は情報系に籍を置く大学1年生の紅美 香美(くみ こうみ)と品質 寛容(しなしち ひろい)。
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