Gartner Symposium/ITxpo 2017 講演レポート
GEから学べ! 次世代製造業の実現に向けたデジタル変革“3つの挑戦”(1/2 ページ)
デジタルへの投資を強化し、自らを「デジタル・インダストリアル・カンパニー」と位置付けるGE。コングロマリットとしてのかつてのGEから脱却を図り、「選択と集中」に取り組み、デジタル変革の道を突き進む理由とは何か。そして、デジタル・インダストリアル・カンパニーへと生まれ変わるために必要な3つの原動力とは? GEジャパン 代表取締役社長兼CEOの熊谷昭彦氏が語った。
次世代製造業に向けたGEの挑戦
自らを「デジタル・インダストリアル・カンパニー」と位置付け、変革を推し進めるGE。ここ10数年を振り返ると、コングロマリットとしてのかつてのGEから脱却を図り、事業ポートフォリオの入れ替え、すなわち事業の「選択と集中」に取り組んできた。
具体的には、“インフラ事業のインダストリアル・カンパニー”を目指す形で、売却と買収を実施。2007年にプラスチック事業を手放し、2015年には一時期GEの利益の半分以上を占めていたGEキャピタルを売却するなど、インパクトの大きな決断を行っている。一方、インフラ事業のインダストリアル・カンパニーの実現に足りないピースを埋めていく形で仏アルストムのエネルギー部門の買収などを行い、インフラ事業のさらなる強化を推し進め、今日のGEの基礎を築いてきた。
その結果、GEは大きく「エネルギー」「輸送・運輸」「医療」の3つの領域におけるインフラ事業を主体にビジネスを展開。この段階で、インフラ事業のインダストリアル・カンパニーに変貌を遂げたGEだが、競合との厳しい戦いの中で「この先のもう一歩」「さらなる差別化」を実現するために、5年ほど前から“デジタルへの投資”を強化し、デジタル・インダストリアル・カンパニーとしての変革の道を進んでいく――。
ガートナー ジャパン主催の「Gartner Symposium/ITxpo 2017」の初日(2017年10月31日)、GEジャパン 代表取締役社長兼CEO GEコーポレート・オフィサー(本社役員)の熊谷昭彦氏がゲスト基調講演に登壇。「Transforming to a Digital Industrial Company - 次世代製造業に向けたGEの挑戦」をテーマに、GEがデジタル変革に挑戦し、デジタル・インダストリアル・カンパニーとして生まれ変わるために取り組んできた施策とその効果について詳しく紹介した。
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デジタルへの投資を強化、「Predix」を生み出したソフトウェアセンター
デジタルへの投資。その象徴の1つが2011年にシリコンバレーに開設した「GEグローバル・ソフトウェアセンター」である。約10億ドルを投じ、約1200人の若きソフトウェアエンジニアたちが働ける環境を構築し、GEが長年強みとしてきた産業分野でのハードウェアおよびその周辺技術の付加価値をさらにもう一段高めるために、ソフトウェアとアナリティクス領域を強化。ここで誕生したのが、産業用クラウドプラットフォーム「Predix(プレディックス)」だ。
「GE全社共通の新しいプラットフォームとしてPredixを開発。それまでは事業部ごとにプラットフォームやソフトウェアをバラバラに開発し、それぞれ使っていた。このムダを効率化し、全社共通のプラットフォームとして機能するのがPredixであり、各事業部はその上で必要なソフトウェアを開発するという考え方にシフトすることになった」(熊谷氏)
そしてPredixは、各産業分野における機器製造などを自ら手掛けてきたGEが開発したプラットフォームということで、製造業を中心とした多くの顧客に対しても価値を提供できるだろうと考え、Predixをオープンなクラウドプラットフォームとして、顧客に対して展開。その手応えについて熊谷氏は「今日では、Predixを多くのお客さまに使っていただいている。長年、機器製造などを手掛けてきたわれわれ自身が実際に活用していることが何よりの強みとなり、顧客への提案の際に大きな説得材料になっている」と語る。
“デジタル・インダストリアル・カンパニー”実現に必要な3つの原動力
続いて、熊谷氏はGEが“デジタル・インダストリアル・カンパニー”に生まれ変わるために必要な3つの原動力について紹介。その3つとは、
- サービス・トランスフォーメーション
- サプライチェーン・トランスフォーメーション
- カルチャー・トランスフォーメーション
である。
1.「サービス・トランスフォーメーション」とは?
サービス・トランスフォーメーションとは、GEが提供するサービスを大きく変えることを意味する。「従来のわれわれのサービスビジネスは、販売した機器の修理やメンテナンスを中心としたソリューションサービスの提供だった。しかし、デジタルへの変革に伴い、今後は機器の有効活用やオペレーションの最適化につながるようなソリューションを提供していく必要がある」と熊谷氏は説明する。
これらを実現するためのアプローチの1つが「デジタルツイン」である。出荷する全ての機器(現実世界の機器)と対をなす“デジタルの双子(デジタル世界で再現された仮想的な機器)”をGE側で保持し、IoTを活用してそれらをつなげることで、「世界中で稼働しているGEの機器が今どのような状況にあるか、リアルタイムにモニタリングできるようになっている。これを活用することで、機器の消耗度合いやパーツの摩耗具合を把握し、ダウンタイムの最小化などにつなげることができる」(熊谷氏)
オペレーションの最適化の事例としては、GEアビエーションとカンタス航空が共同開発したパイロット向けのPredixアプリ「FlightPulse」がある。これは航空機の運航効率などを可視化するもので、燃料消費量や二酸化炭素排出量などを確認でき、自分の操縦がどうだったか、改善点はどこかを見つけられるという。そして「こうした取り組みが結果として、GEの航空機エンジンのさらなる有効活用につながる」と熊谷氏は説明する。
またPredix上で稼働する「Asset Performance Management(APM)」ソフトウェアを活用したオペレーションの最適化の事例として、GEパワーによる火力発電所の遠隔モニタリングの取り組みを紹介。世界中にあるタービンをIoTでつなげて稼働状況に関するデータ収集を行い、APMで分析することでダウンタイムの低減やメンテナンス費用の削減などにつなげているという。
熊谷氏は「こうした取り組みを通じて痛感しているのが、IoTやデジタル・インダストリアルという考え方が、日本に非常にマッチしているということだ。インダストリアルIoTへの取り組みに関し、日本は世界トップ5に入るほど進んできている。その背景には、日本の産業に“カイゼン”という意識が根付いていることが挙げられる。生産性向上への高い意識と強い現場力、こうした日本の強みにデジタルの力が加わることで、アナログ(従来手法)ではなし得なかった“さらなる改善”が可能となる。GEは日本のパートナー企業との取り組みも強化し、IoTを活用したデジタルによる改善を加速させていく」とし、日本におけるインダストリアルIoTへの可能性、期待の大きさを説明した。
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