電気自動車
加速するEVへの流れ、「EVが当たり前」になると浮上する問題点(2/2 ページ)
ダイソンは掃除機が主力商品ではありますが、過去にはバッテリー(固体材料を用いたLIB)への2000億円近い投資を発表するなど、研究開発に多額の資金を投入しています。それは家電メーカーとしてはやや過剰に感じられるほどです。
2017年2月にシンガポールへ研究開発拠点をオープンした際、ジェームス・ダイソン氏は「ここでは世界でも有能かつ優秀な人材が人工知能やロボット工学、流体力学、ヴィジョンシステムによるハードウェア、電気工学、そしてソフトウェアの融合による技術の開発を行っています」とのコメントを寄せています。コメントに並ぶ単語を見ると、家電製品の開発だけを意図しているとは思えません。まるで自律ロボットや自動運転車の開発をしているようです。
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自動車産業は産業自体としてみれば成熟したものであり、かつ、人命を預かることもあり新規での参入と成功はそう簡単なものではありません。テスラやGLMの例もあるので新参入ができないとはいいませんが、GoogleやAppleの自動運転車開発に関するトーンが低下している(Googleは自社設計の断念を正式に発表しています)ことからも、参入と成功の難しさが分かります。
「EVであること」は優位性ではない
ガソリン車に比べて技術的な参入障壁が低いといわれるEVですが、市販車の投入実績がないダイソンの表明は(自動車業界からの人材も加えているとはいえ)、この“定説”を裏付ける結果となりました。ダイソンに続く企業が現れるかどうかは分かりませんが、EVの存在がプレーヤーの拡大を招くことは確かでしょう。
プレーヤーが増えた場合、次に起こるのは競争です。そして競争に勝つためには差別化が必要になります。トヨタらが設立したEV C.A. SpiritはEVの基礎を研究するのではなく、さまざまな車種で利用できるアーキテクチャの確立をその目的としています。つまり、自動車メーカーが相乗りしているのは「基礎は共同開発して、味付け(差別化)は各社で」という差別化に向けての戦略であると言えます。
EVにおける差別化という観点からすれば1つ飛び抜けているのが「スポーツEV」を確立しているテスラでしょう。日本のGLMも「EVフェラーリのような高付加価値型」(GLM 取締役 田中智久氏)のポジションを目指します。新規参入を発表したダイソンといえば「吸引力の変わらない、ただ1つの掃除機」ですが、EVにおいてはどのような価値を訴えてくるのでしょうか。
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