モノづくり技術者の転職ゲンバから(7)
ミスマッチ職種から適性職種へ――オリジナルマッチングによる転職成功事例(1/2 ページ)
転職を考えているエンジニアの皆さん、これからの転職活動に不安はないでしょうか。本連載では“転職活動のリアルなお話”を交えながら、皆さんの今後のキャリアを考える上でのヒントを提示していきます。第7回では、ミスマッチ職種から適性職種へのキャリアチェンジ事例を紹介しながら、転職成功の秘訣(ひけつ)や注意すべき点などについて取り上げます。
前回は、「オリジナルマッチングによる転職成功事例」をテーマに、他職種から設計職へのチャレンジについて取り上げました。
今回も引き続き、実際にオリジナルマッチングで転職に成功した方々の事例にフォーカスし、転職までの経緯や裏側も含めた“リアルなお話”をお届けしたいと思います。
ミスマッチ職種で働き続ける「苦悩」
就職でもミスマッチが起こり得ます。憧れの職種、チャレンジしたい職種、やらざるを得ない職種、自分の天職だと思っていた職種など、状況や理由はさまざまですが、転職して実務を経験してみたらミスマッチだった……ということも珍しくありません。
では、もしそのミスマッチの度合いが大きかったらどうでしょうか? つらいのを我慢してそのまま働き続けるべきか、それとも自分に合った職種をもう一度探すべきか、その見極めは非常に困難です。なぜなら、「そもそも本当にミスマッチなのか?」という問題もありますし、そうでない場合でも「どこがミスマッチなのか?」「逆に何であればマッチするのか?」を的確に捉える必要があるからです。
設計職にチャレンジしたものの……
実際、キャリアコンサルタントである筆者のところへ転職相談をしに来た方の話ですが、「前回の転職で初めて設計職にチャレンジする機会を得て、それから約半年……。もうつらくて続けられないため、退職を決意した」というのです。
前回の他職種から設計職へのチャレンジでお伝えした通り、「設計職」というのは技術職の中でも憧れの職種の1つです。この方も転職当初は「技術職でいるからにはいつかは設計職に!」と一大決心し、ポテンシャル採用で入社しました。しばらくは仕事へのやりがいを感じ、モチベーションを高く保ち、技術面やツールの使用方法なども日々習得しながら頑張って勤めてきたそうです。
様子が変わってきたのが入社4カ月目のことで、ちょうど本格的な実務が始まったころだったといいます。
設計業務というのは、新しいモノを作り出すために見えないゴールを目指し、知識とアイデアを総動員して製品を形作っていきます。それこそが設計業務の醍醐味(だいごみ)なのですが、努力すれば良いアイデアが出てくるわけではなく、頑張っても結果に結び付かないことも多くあります。その方もそうした「生みの苦しみ」に悩まされ、とうとう「つらい」と感じるようになってしまったそうです。
ミスマッチという判断
「たかが半年程度で何が分かる!」と厳しい声も聞こえてきそうですが、転職後半年以内に辞めたくなるというのは決して珍しいことではありません。では、なぜそうなってしまうのでしょうか?
最初に疑うべきは、「環境の変化への適応」です。転職とは、これまでいた環境とは文化も人間関係も異なる世界に飛び込むことです。そこにどうしても馴染めない(順応できない)場合、短期間で辞めたくなることが多いようです。
ただし、先ほど紹介した方の場合、環境に関する問題が理由ではありませんでした。むしろ、同時期に入社した中途仲間との人間関係も良好で、職場環境としても問題がなかったそうです。
この方と話をしていく中で、「今までと違う」という言葉を何度も耳にしました。また、この方を少し分析してみると、「保守的」「マニュアル好き」「細かい」「ミスが少ない」といった人間的特徴が見えてきました。
設計職は前述の通り、新しいモノを作り出す仕事です。細かく、ミスの少ない性格はマッチしているように感じますが、保守的過ぎては新しいモノは生み出せませんし、過去のやり方にこだわるマニュアル思考では、新しい技術や理論を取り入れたモノづくりに順応することは難しいでしょう。
さて、この方にとって設計職は適職なのでしょうか? 答えはもう見えていますよね。
マッチする職種は何か?
この方にとって設計職がミスマッチだったとするなら、どんな職種がマッチするのでしょうか。
そこで筆者が提案したのが、新しいモノを作り出すのではなく、出来上がったモノを厳しくチェックする仕事、「検証業務」です。
開発業務は大きく、モノの形を構想段階から詳細設計に落とし込む「前工程」と、設計したものを基に形作る「後工程」に分けることができます。後工程では、設計情報を基に試作品を作り、その試作品が要求仕様を満たしているかをあらゆる角度から確認して、修正や改良を繰り返しながら完成品として仕上げていきます。この後工程の中に、検証業務があります。
検証業務とは
検証業務は、設計に基づいて作られた試作品を「検証」する仕事で、「製品を使用する上で考えられるあらゆる問題を事前に解決すること」がミッションとなります。例えば、持ち運びができる製品であれば、使用する環境をたくさん想定しておかなければなりませんし、温度、湿度、埃(ほこり)、水、などの条件も加味する必要があります。また、使い方によるトラブルもあり、落としてしまう、強い力でスイッチ類を操作する、よく使うボタンの摩耗といった、さまざまな懸念事項も押さえておかなければなりません。
一般的にこうした項目を検証するために、「環境試験」「耐久試験」などが行われます。他にも、ソフトウェア、電気など、中身や機能に関する検証もたくさんあります。特に量産品の開発であれば、市場に出てから不具合が出ないように、とにかく開発の段階で不具合を出し切って問題解決しておかなければなりません。そういう意味で、検証業務というのは“開発の最後の砦”ともいえるほど重要な役割です。
検証業務にマッチする人は
検証業務に必要な要素は、「問題点を見逃さない」ことです。そして、この業務には「細かい」「しつこい」「慎重」といった特性が求められます。この点で、かなり設計職に求められる要素、特性と異なることが分かります。
今回相談に来られた方のこれまでの実務経験をひもといていくと、正確さが求められ、ミスが許されず、分析や検証をしたり、書類を作成したりする業務を数多くこなしてきたことが分かりました。そうした経験から、検証業務で求められる特性を備えていることが容易に想像できたため、未経験ながら検証業務への転職を提案することにしました。
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モノづくり技術者の転職ゲンバから
転職を考えているエンジニアの皆さん! これからの転職活動に不安はないでしょうか? 本連載では“転職活動のリアルなお話”を交えながら、皆さんの今後のキャリアを考える上でのヒントを提示していきます。自身の転職、エンジニアとしてのキャリアビジョンを見つめ直すきっかけにご活用ください。
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