産業社会におけるデジタル化の価値(2)
製造現場はどう変わる? デジタル技術がもたらすインパクト(3/3 ページ)
付加製造(AM)とハイブリッド製造
(3)生産技術に対する不完全性への対応策の1つとして、新たな製造方式である「付加製造(Additive Manufacturing)」が挙げられます。付加製造そのものは純粋な製造技術ですが、このプロセスには入力データとなる3Dデータ作成が大きく関わってきます。3Dプリンタについては近年よく知られており、従来の量産生産技術との対比もよく行われています。付加製造法は、従来技術よりコスト効果が高いとは限りませんが、その一方で従来不可能であった内部ハニカム構造による軽量化を実現できるなど、画期的な製品を実現する上での利点があります(図8)。
ハニカム構造や格子構造を内部構造として組み込み、3Dプリンタ用の入力データを作成する場合、内部構造をCADデータとして表現するとデータが巨大となり、3Dモデルを扱う上でのレスポンスが悪化する恐れがあります。しかし現在では、内部構造をポリゴンとして定義し、従来のCAD形状と混在して3D形状を定義する技術を利用できます(図9)。また、混在した3DデータはCAEにもそのまま利用可能なため、部品としての素材/形状の複数案の検討を促進できます(図10)。
加えて、付加製造は位相最適化との相性が良いという特長があります。せっかく重量などを最適化した新しい形状を得たとしても、従来型の型や切削加工などの生産方法では非常にコストがかかる、あるいは製造できないというケースがあり、結果形状を生産要件のために相当変更しなければなりませんでした。しかし、付加製造は対象の3D形状の制限が非常に少ないため、従来の変更の手間を大幅に削減できます。
また、従来型の材料除去型の加工(仕上げ加工、穴あけなど)と、付加製造を組み合わせたハイブリッド製造が可能な加工機械も登場しており(図11)、ハイブリッド製造のためのNCデータ作成も可能になっています(図12)。このことで生産可能な部品は飛躍的に広がり、製品開発を新たな次元に押し上げる可能性が出てきました。
今回はより生産技術、生産現場に近い部分において、最新のデジタル技術がさまざまな曲面でもたらすインパクトについて解説しました。次回は、最近注目を浴びている「インダストリアルIoT」「セキュリティ」について取り上げる予定です。これらも、今回紹介したようなデジタルのつながりが実現して初めて生きてくる領域になりますので、今回の内容をよくご理解いただければ幸いです。(次回に続く)
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産業社会におけるデジタル化の価値
「デジタル化」とは何か? デジタル化が産業社会にもたらす変化と価値について、全4回で解説する。
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