産業社会におけるデジタル化の価値(2)
製造現場はどう変わる? デジタル技術がもたらすインパクト(2/3 ページ)
同一仮想環境における工場設備設計と現況把握
先ほど述べた通り、製品と同様に工場をBOM化(Bill of Equipmentとも呼ばれる)することは可能ですが、そのことだけで(5)現状を把握する能力の不完全性を補えるわけではありません。1つの解が、3Dカメラを用いた工場全体の現況の3Dスキャニングです。3Dカメラによって設備や建物は3D上の「点群」として表示され、かつそれらは設備をモデル化するための仮想空間(通常3D CAD)に取り込むことが可能です。
かつて点群情報とCADデータとの間には、環境や互換性などの溝がありました。また、建物全体の点群(数億点)のような膨大なデータを扱うことは困難でしたが、現在では設備を設計する3D CAD環境でモデルと混在して扱うことが可能です(図4)。
このことにより、3Dモデル化された製品や設備の稼働範囲と現況の建物を比較して、干渉が生じていないかどうかを事前に検証できます。3Dスキャニングが生産設備の部品単位までブレークダウンをしてくれるわけではありませんが、記録されているマスターデータとの差異の検出、整合の確認に役立ち、これはすなわち新製品の量産立ち上げを短期化できる重要な要素となります。このことは、BOM/BOPの連携と併せて、(1)生産量の柔軟性に対する不完全性の解決に寄与します。
バーチャルコミッショニング
(4)予測に対する不完全性について、シミュレーションが大きな助けとなります。製品のシミュレーションは性能(要件)を検証するためのものですが、生産では成立性、サイクルタイム、品質などを検証します。
生産システムは、PLC(Programmable Logic Controller)によって制御されています。つまり、実際に最も近いシミュレーションを行うには、プログラミングされたPLCから仮想機械を動作させて検証すればよいことになります。そのシミュレーション結果がOKなら、現実の機械をPLCの制御対象に切り替えれば、シミュレーション通りに動作するはずです(図5)。
この手法は生産ライン立ち上げの短期化、高品質化を目的とし、「バーチャルコミッショニング」と呼びます。PLCは、現実のものが使われる場合(Hardware-in-the-Loop)も、PLCのエミュレーションを使いソフトウェア上で行う場合(Software-in-the-Loop)もあります。物流のシミュレーションでは、図6のように3D形状、配置、ビヘイビアモデル、制御ロジックとオートメーション用プログラムを準備することで実施可能です。
物流だけではなく特定の工程を担う機械についても、最新技術ではメカニカルな側面での検討と、オートメーションプログラムを並行的に検討できます。そのため、問題を発見した場合、部品変更するなどしてメカニカルに解決するか、ソフトウェアを修正するか、いずれかの選択が可能で変更結果を直ちに検証できます(図7)。
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産業社会におけるデジタル化の価値
「デジタル化」とは何か? デジタル化が産業社会にもたらす変化と価値について、全4回で解説する。
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