組み込みAI
インテルとAIとFPGAの関係、「組み込みAI」普及の施策(1/2 ページ)
人工知能(AI)は組み込みの世界にとっても、無関係な存在ではなくなりつつある。FPGA大手を傘下に収めたインテルの考える「AIとFPGAの関係」とは。
「組み込みAI」の実現に向けて
さまざまな領域での活用が見込まれている人工知能(AI)だが、それは膨大なコンピューティングパワーを存分に使えない組み込み開発の世界においても無縁ではない。
AIをどう定義するかにもよるが、代表的なAI技術であるディープラーニングでは、「学習」と「推論」がセットで行われる。そして学習には、特徴点を抽出するために多くのデータとそれを処理する高い計算能力が求められる。
このディープラーニング技術を組み込み機器に“組み込みAI”として実装したいと考えたとき、「学習はクラウドやオンプレのサーバなど強大なコンピューティングパワーを持つところで行い、推論は即時性の高い判断が求められるエッジデバイス側で行う」というアプローチには説得力があるように思える。
この分離型とも呼べるアプローチにおいて、エッジ側でのFPGA利用を推進するのがインテルだ。FPGA大手であるアルテラを買収してProgramable Solutions Group(PSG)として傘下に置いた同社は、ディープラーニングの学習をXeonなどのサーバ製品で、推論をArria 10などFPGAで行う環境の整備を急ピッチで進めつつある。プライベートイベント「インテル AI Day」にあわせて来日した、PSGのディレクター Bernhard Friebe氏へインテルとAI、FPGAの関係について尋ねた。
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20年前とはワケが違う
イベント「インテル AI Day」の檀上でFriebe氏はニューラルネットワーク開発に従事していた自身の過去を振り返りながら、「今は20年前とは違う」とAI技術が実際の産業へ展開可能な時期がようやく到来したと振り返った。
「私が過去にニューラルネットワークの世界から離れたのは、市場化できなかったからです。コンピューティングパワーもデータセットもありませんでした。それに何より、お客さんもエンジニアもAIの実用化を信じなかったからです」(Friebe氏)
しかしここ20年、いや、10年でAIを取り巻く環境は大きく変化した。Alpha Goが果たした世界チャンピオンの打倒ですら既に過去の事として扱われるほど、変化は急速で、現在も変化は続いている。最たるものが社会への実装、実用化であり、インテルはFPGAを含む多種類のシリコンチップとソフトウェアを用意し、AI技術の実用化を急ピッチで進めている。
インテルにおける「AI」
――イベントでは「AI」という言葉が多く使われていました。ですが、AI(Artificial Intelligence)とは本来、非常に広い範囲の事象や技術を指す言葉です。インテルにおける「AI」とは、実質的にはディープラーニングを指しているのですか?
Friebe氏 ご指摘の通り、AIとは非常に広い範囲を指す言葉として利用されていますが、インテル製品を語る際にはAI=マシンラーニングであると考えて構いません。マシンラーニングの中で代表的な手法であるディープラーニングには学習と推論の2ステップがあり、学習にはXeonやNERVANAプラットフォーム、推論にはFPGAが利点を生かせると考えています。
――FPGAによるAI推論実行について、イベントでは「柔軟性」「低レイテンシ」「高スループット」「低消費電力」と4つのメリットがあると発言していました。これは組み込み機器に搭載されるCPUやASICなどに対してのメリットでしょうか。
Friebe氏 前提として、FPGAが持つ4つの特徴(柔軟性、低レイテンシ、高スループット、低消費電力)の組み合わせによって、他への優位性が生まれることを理解してもらいたいと思います。
ディープラーニングにおける推論のステップでは、いろいろなアプリケーションとユースケースが存在し、コンフィギュレーションが発生します。こうした変更やデザインの拡大に対応するためには回路としての柔軟性が求められます。FPGAは自身の持つ柔軟性によって、多種多彩なコンフィギュレーションやトポロジーに対応できるのです。
ですが、ひとくちに柔軟性と言っても、プログラマビリティとフレキシビリティを混同してはいけません。AI機能を機器に搭載する際、さまざまなI/Oやプロトコルに対応しなくてはなりなりませんし、現場に投入された際には加えてワークロードの変化にも対応しなくてはならないからです。
レイテンシについては、搭載対象として自動車やロボットを考えれば想像できますが、AI機能を各種機器上で実行するに際して、リアルタイム性や即時性は欠かせません。ASICとして実装することで効果を上げることも可能でしょうが、GPUではアーキテクチャ的にバッチ的なデータ処理フローとなってしまうため、レイテンシ確保という意味では適さないと考えます。
低レイテンシであるだけではなく、固定(Fixed latency)できることも大きなメリットです。安全性が求められる状況では順次の処理ではなく、明示的に「いつするか」という判断と実行が可能であることが求められるからです。GPUはアーキテクチャとして即時的に動いてしまうので、レイテンシを固定することができませんが、FPGAならば処理に要する時間をあらかじめ固定できます。感知してから実行するまでの時間を固定できることは、FPGAにおける大きなメリットです。
高いスループットや低消費電力性が必要なのは、機器への組み込みを考えると言うまでもないでしょう。
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