設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用(6)
3D CAD推進の成功は「プロジェクト組織」の在り方次第!?(2/2 ページ)
必要な人員を確保できるか? 問われる手腕
筆者の場合、設計部署内の必要性から始まった派生的なプロジェクトと、会社全体の取り組みとして新規で組織を作ってスタートしたプロジェクトの両方を経験したことがあります。
当然、プロジェクト組織内で専任と兼務が混在するケースもあります。例えば、プロジェクトマネジャーは専任でも、メンバーは始めから専任もいれば、本業の事情などにより兼務もいます。特に人的リソースが不足しがちな中小企業では、設計製造業務が多忙なため、助っ人として兼務で参加せざるを得ないケースもあるため、プロジェクトが思うように進まないこともあります。必要な人員を確保できるか、プロジェクトマネジャーの手腕が問われます。
また、プロジェクトの推進には「人件費」が掛かります。専任型プロジェクト組織の場合、どこがその費用を負担するのでしょうか。あらかじめ決めておく必要があります。また、兼務型プロジェクト組織においても、メンバーの人件費はそれぞれの所属組織において負担することになります。いずれにせよ予算を考慮しつつ、その処理方法についても考えなければなりません。
プロジェクト組織を社内でどのように置くべきか
筆者が取り組む“3D CAD推進プロジェクト”の場合、その必要性を経営層に理解してもらうことで、「経営的なプロジェクト」として認めてもらい、経営企画室の一部組織として「3D CAD推進室」を設けました。こういった方法だとトップダウンによる影響力を持った活動が可能になりますが、プロジェクト推進者やメンバーが設計現場に入り込んでおく必要があります。こうしたことを無視してしまうと、「上が勝手なことをやりやがって」と現場の不満が噴出してしまいますし、肝心の設計現場の当事者意識がどんどん薄れてしまいます。きちんと設計現場に入り込み、目的の共有と理解を促した上で、プロジェクトを進める必要があります。「勝手に決められてしまっている」と、現場が被害者意識を持つようになってはダメです。
これは筆者の経験によるものですが、3D CAD導入フェーズの場合は、専任のプロジェクトマネジャーの下に、設計部門から採用した兼務型のプロジェクトメンバーを配置することで、設計現場との連携がスムーズになり、プロジェクトの進行に良い結果をもたらします。また、3Dデータの全社活用・展開を行うような場合は、関係する全部門から兼務型でプロジェクトメンバーを募り、プロジェクトを推進すべきです。各メンバーは、それぞれの部門内での取りまとめや連携を行うとともに、プロジェクト推進における重要な意思決定を担うことになります。
プロジェクトの規模やその進め方によって、企業の中でのプロジェクト組織の位置付けも変わってきます。大規模なプロジェクトになると、「ワーキンググループ」や「タスクフォース」などと呼ばれる、個別の役割を担った小さなチーム(集まり)が組織されることもあります。
- ワーキンググループ(Working Group):作業部会
部門横断的なプロジェクトを進める上で、各部門のプロフェッショナルが形成する組織。各部門の課題を取りまとめ、プロジェクトと連携する部会
- タスクフォース(Task Force):任務部隊
ある特定の作業を行うために編成されるチーム。プロジェクトチームよりも小さいといわれるが、“大きなプロジェクトの中の部会”として捉えれば、ワーキンググループと同義であると筆者は考える
- クロスファンクショナルチーム(Cross Functional Team):機能横断型チーム
部署や役職に関係なく、場合によっては社外からも人を集めて作られるチーム。部門横断的な動きや知識の共有が可能なため、業務改革などに効果を発揮する
3D CAD推進のレベル感、範囲、他システムとの連携など、そのプロジェクトの規模や内容によって、プロジェクトチームの構成は異なると考えるべきです。そのため、プロジェクトの要素である“人員”については、十分な検討が必要になるわけです。
最後に、筆者の経験を基にした、組織構成の例を紹介します。
準備から始まり、どの範囲までそのプロジェクトを進めるのかによって、組織構造は変化します。次回は、「プロジェクトの作業」について解説します。ご期待ください。(次回に続く)
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設計・製造現場を変革する3D CAD/3Dデータ活用
設計品質の向上、さらなる生産効率化など、設計・製造現場では常に厳しい要求が突き付けられている。そうした中、3D CADをはじめとしたツールの導入やより効果的な使い方を追求した組織としての取り組みも行われている。本連載では3D CAD/3Dデータ活用にフォーカスし、プロジェクト管理者がどのような視点で現場改革を推進していくべきか、そのヒントを提示する。 ◎こんなキーワードに興味のある方にオススメ:[3D CAD][3Dデータ][3D推進][3次元設計][設計品質向上][ツール導入]
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