モノづくり技術者の転職ゲンバから(2)
技術者が転職する理由とは? ちょっとリアルなお話【他者都合編】(3/3 ページ)
エンジニアはなぜ転職をするのか? 実例をご紹介【他者都合編】
ここで、前回の【自己都合編】で挙げた実例のシチュエーションを使って、他責から本質への変換について考えてみたいと思います。
1.“上司に対する不満”から他職種へ転職
上司に対する不満だけを言っていたら、まさに他責そのものです。このままの状態で転職活動を行っても良い結果は得られなかったでしょう。
他に転職を考えた理由はないのでしょうか? この方の場合、もっとスキルアップしたいという意欲があることが分かり、最終的に「本当は設計にチャレンジしたい!」という前向きな転職理由が見つかりました。
人間関係がきっかけの場合、どうにかして環境を変えたいという気持ちが先行しがちですが、居場所が変われば満足するのでしょうか? そうであれば部署異動ではダメなのでしょうか? 冷静になれば別の選択肢も見えてくるはずです。また、前述のように、なぜ今の会社にいるのか? 仕事や就職を意識し始めた学生のころから振り返ってみることで、自身のキャリアビジョンも整理され、新しい道へのチャレンジという選択肢も発見できるかもしれません。
2.「給料が低い!」は表面的な理由にすぎない
一般的に、給与はその企業の基準に基づき支払われます。その金額が高いか、低いかはその人の感覚や生活水準によりますので、給与の未払いや不当な賃金カットなどがない限り、給与問題は本質的な転職理由にはなりづらいでしょう。
「給与が低いから大企業に転職したい」といっていたある方の場合、これまでやりがいを感じていた専門業務から離れてしまったことがきっかけで、「満足度の低い仕事をして、給与も上がらない!」という不満へ発展してしまいました。
しかし、裏を返せば「やりたい専門業務に戻れれば、多少給料が低くても仕事に対する満足度が上がる」ということです。これがこの方の本質です。表面的な給与が低いという理由だけでは、単なる他責になってしまいます。やりたいこと、自分がありたい姿が見えてくれば、転職活動もよりポジティブに進められるのではないでしょうか。
3.あなたにとっての「ワークライフバランス」は?
最近、「ワークライフバランス」という言葉をよく耳にしますが、使い方の難しいワードの1つだと筆者は感じています。仕事を基準にバランスを考えるのか? それ以外を基準にバランスを考えるのか? という2通りでかなり変わってきます。
本稿は、技術者の皆さんの転職活動(キャリア)をテーマにしているので、仕事を基準に考えると、「『仕事』というものをどう捉えるか」という話になります。もし、「仕事は生活費を稼ぐための手段だ」と考えれば、仕事が忙し過ぎてプライベートの時間が全く取れない状態は嫌だと思います。逆に「仕事は自身の成長や、やりがいを感じるためにある」というのであれば、責任や役割が増えて仕事中心の生活になっても喜びを感じられるでしょう。多くの技術者の皆さんが後者に近い働き方をしているのではないでしょうか? 自身の仕事にプライドを持ち、良いモノを作ることに心血を注いでいることと思います(もちろん、心身を壊すほどの異常な働き方は褒められたものではありません)。
「技術の仕事は好き。やりがいがあり、必要な残業は多くなっても問題なし」という考えはすばらしいと思います。しかし、異常なまでの過重労働で心身を壊したり、残業を多くする人を単に評価するような環境で不満を感じたりしているのであれば、転職という選択肢もあります(その前に「休息」が必要かもしれませんが、とにかく身体が資本ですからね)。もし、そうした環境で転職を考えるのであれば、他責ではなく本質を見極めた、ウソのない転職理由を準備するようにしてください。
今回は、仕方なく転職せざるを得ない他者都合をテーマにお届けしてきました。ポイントは、「自分の転職理由が他責になっていないか、しっかりと考えてから転職すること」です。当たり前のことのように思えますが、孤独な戦いでもある転職活動の際は、客観的に判断しづらいものです。それにどうしてもネガティブになってしまうことも多いので、周囲の友人や家族などに相談することは本当に大切です。
ただし、簡単に「そんなにツライなら辞めたら?」と言ってくる人には注意してください。その見極めは難しいかもしれませんが、相談相手が後で責任をとってくれるわけではありませんので、少しでも親身になって話を聞いてくれる信頼のおける方に相談してみるとよいでしょう。ちなみにこれは“転職あるある”ですが、意外と当事者のご両親が「そんなに大変なら仕事を辞めたら?」と、わが子かわいさにアドバイスなさるそうです。
さて次回は少しテーマを変えて、「企業がキャリア採用に求めること」についてご紹介したいと思います。お楽しみに! (次回に続く)
筆者プロフィル
日本アルテック株式会社 浦林 次郎(うらばやし じろう)
大学(電気工学科)卒業後は、大手技術派遣会社へ入社。技術職としてデジタルカメラのハードウェア開発などを経験。その後社内キャリアチェンジにより営業職となり、自社社員の派遣先開拓、担当技術者のキャリアサポートを行ってきた。その中で、産業カウンセラー資格を取得し、自身の仕事を見つめ直したときに、さまざまな経験の中でもキャリア支援に特化した仕事をしたいと感じ退職。自身の転職活動で多くの人材紹介会社と接したことで、学んできた『キャリアコンサルティング』と、世の中の『人材紹介ビジネス』との埋められないギャップを痛感し、自分たちの考えが実現できる『日本アルテック』で『本物のキャリアコンサルティング』を目指し日々精進中。
日本アルテック株式会社 https://www.altechjp.com/
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モノづくり技術者の転職ゲンバから
転職を考えているエンジニアの皆さん! これからの転職活動に不安はないでしょうか? 本連載では“転職活動のリアルなお話”を交えながら、皆さんの今後のキャリアを考える上でのヒントを提示していきます。自身の転職、エンジニアとしてのキャリアビジョンを見つめ直すきっかけにご活用ください。
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