モノづくり企業が本当に必要としている技術者の応募書類(1)
求人企業へ提出する応募書類とは?
技術者であるあなたが転職活動を行う際、どのような「履歴書」「職務経歴書」を作成していますか? モノづくり企業が本当に必要としている応募書類について、技術者の転職支援を長年サポートしてきた筆者が伝授します。
はじめに
転職活動において、求人企業への応募はさまざまな方法が選べるようになってきました。例えば、各企業のWebサイトからの直接応募、求人サイトでの応募、転職サイトへ登録しておいてスカウトを待っての応募、転職エージェントを介しての応募、SNSを利用した応募など、多くの方法があります。
しかし、モノづくり業界の企業では、その多くが上記の募集方法を取り入れてはいるものの、書類選考の感覚は独特のものがあります。そのため、技術者の方はネット上にある最新の情報を参考にしても、モノづくり企業が本当に必要としている応募書類の書き方を知ることができません。そこで、今回はモノづくり企業に特化した採用支援を行っている中で、筆者が普段各企業から聞いていること、感じていることを基に、技術者(※補足)に特化した応募書類についてのお話をさせていただきたいと思います。
※補足:
「技術者」と一言でいうとIT系のエンジニアも入ってきますが、ここでは以下の職種に限定したお話になります。
機械設計、デジタル回路設計、アナログ回路設計、電気制御設計(PLC制御、ハード)、組み込みソフトウェア開発、各種IC設計、生産技術
応募書類とは
キャリア採用、中途採用の応募書類といえば、「履歴書」と「職務経歴書」です。
その履歴書と職務経歴書ですが、技術者の皆さんはどのような目的で作成されていますでしょうか。
企業へ応募するために必要だから?
自分をPRするためのプレゼン資料?
もちろん企業へ応募するために必要ですし、自分をPRするものであることは間違いありません。ただ、それ以外に応募書類作成には、
自分自身の経験の振り返りができる
という大きな意味があります。そのため、とにかく経験してきたことを全て書き出していただきたいのです。その作業をしていると「こんなことも経験してきたのか」や「今ならこのときの仕事は簡単にできるな」など、自分自身のキャリアの整理ができるだけでなく、自己肯定感も高まります。そして、書類選考通過後に行われる面接の準備にもなります。
応募書類作成は、転職活動を今後良い方向に進められるかどうかが決まる重要な初めの第一歩といっても過言ではありません。しっかりと振り返りをして応募書類作成を進めていけば、あとが楽になります。
また、履歴書、職務経歴書は必須書類ですが、それ以外の書類を用意してはいけないということではありません。
例えば以前、生産設備の保全経験から、PLCプログラムの作成など、電気制御設計(修正がメイン)を経験してきた方がいらっしゃいましたが、職務経歴書の説明だけでは、全体像が見えにくかったため、生産設備全体の図を描いて、設備ごとに自分自身が担当した業務をビジュアルで分かりやすく見せる資料を別紙で用意しました。また、ある産業機械の機械設計者は、趣味で作っている自作のロボットの図面を別紙で添付したことで、企業に興味を持ってもらえ、面接へ進んだというケースもあります。
各書類には役割がある
履歴書と職務経歴書は、それぞれ役割があります。
【履歴書】
履歴書は、どのような学校へ行き何を勉強し、何という会社に入り、何回転職し、現在に至っているか、という基本的な流れが分かれば大丈夫です。担当職務や業務詳細などは職務経歴書に書きますので、履歴書は職務経歴書との重複を避けるために、シンプルな形にした方がよいです。各書類で内容が重複しないように役割を分けることが大切です。
【職務経歴書】
モノづくり企業では、当然のことではありますが、技術経験を重視してきます。どのような製品のどの部分に携わり、どのような役割でどのようなツールや環境でどれくらいの期間、仕事をしてきたかを見てきます。また、自社と応募者の経験に共通の技術要素があるかも確認します。そのような点を職務経歴書にまとめます。
重要な書類だと認識する
履歴書、職務経歴書の添削を行っていますが、期間など年月の記載ミスや、レイアウトの崩れ、フォントが統一されていない、西暦と元号が混在している、改行の位置がおかしいなどが、結構目立ちます。
応募書類が見づらかったり、誤字脱字が多かったりすると、やる気がないと思われたり、オフィスソフトを使いこなせず資料作成もできないのではないか、図面もいいかげんに書くのではないかなど、思われてしまう可能性があります。
応募書類は大事な書類ですのでレイアウトやフォント、フォントサイズなど、きれいに仕上げて、完成したら、何度も見直しましょう。
応募書類作成は良い企業と出会えるきっかけとなる
応募書類を作成することで、今までの経験を振り返ることができますが、その「振り返り」というプロセスが重要です。書類選考通過を第一の目的にしないことが、良いスタートを切るコツです。
自分自身の経験を深く振り返ることで、どのような働き方がしたいのか、どのような技術者になりたいのか、どのような環境を望むのかなどが明確になり、それが“自分自身にとっての良い企業”に近づいていくことになります。
次回以降は具体的な各書類の書き方についてのお話をしていきます。(次回に続く)
筆者プロフィル
日本アルテック株式会社 代表取締役 相澤 庸介(あいざわ ようすけ)
1998年大学(電気工学専攻)卒業後、流通業界を経て、2002年東京リーガルマインド入社。キャリア・コンサルタント資格取得を目指す方向けの講座企画、運営を行う。2006年アルプス技研に転じ、技術者のキャリア形成支援に携わった後、2012年日本アルテックを設立し、現職。
技術者の転職支援に完全特化し、その他業界は一切手を出さないという徹底したスタイル。専門的に集中して取り組む事で、企業との深い関係構築や業界情報を深く知ることが出来、きめ細かいマッチングを実現するという点にこだわりを持ち、モノづくり技術者の転職支援を行っている。
日本アルテック株式会社 https://www.altechjp.com/
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
モノづくり企業が本当に必要としている技術者の応募書類
技術者であるあなたが転職活動を行う際、どのような「履歴書」「職務経歴書」を作成していますか? モノづくり企業が本当に必要としている応募書類について、技術者の転職支援を長年サポートしてきた筆者が伝授します。
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社 Green AI] AIで脱炭素計画を最適化、初年度からエネルギーコストとCO2を削減する方法 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の普及戦略が公表 政府が目指すコスト・導入量のロードマップを解説 -
市場調査・トレンド
[スマートジャパン編集部] 導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム コスト・収益性の現状分析 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向 -
技術文書・技術解説
[スマートジャパン編集部] 「ペロブスカイト太陽電池」の開発動向、日本の投資戦略やコスト目標の見通しは?
関連記事
こんなメディアも見られています
TechFactoryに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
特集
- マテリアルズ・インフォマティクスの動向調査
- 研究・開発職のデジタル活用調査
- 設計・解析業務におけるAI活用
- 3Dプリンタ利用動向調査
- CAD利用動向調査
- つながる工場の現状と課題
- 製造業におけるAI開発および活用の実態
- 設計・製造現場における品質管理
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:フィジカルAIが生み出す新たな「設計思想」――電子版2026年8月号
-
2
半導体装置メーカー 業績まとめ【2027年3月期第1四半期】
-
3
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part4)
-
4
一時は時価総額トヨタ超え キオクシア2026年度の動向
-
5
微細配線間の絶縁劣化をどう捉える? 先端パッケージ評価の最前線
-
6
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part1)
-
7
EE Times Japan×EDN Japan 統合電子版:2026年上半期の半導体業界を振り返る――電子版2026年7月号
-
8
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part3)
-
9
CADツールの見直しは本当に必要? 切り替えの理由と効果を7つの質問で検証
-
10
新入社員に読んで欲しい鉄鋼材料の基礎知識まとめ(Part2)
TechFactory SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechFactoryをフォロー