沖縄モノづくり新時代(6)
“沖縄発のIoT”を仕掛けるレキサス、キーワードは「非日常」と「人間中心設計」(3/3 ページ)
IoT開発合宿でユーザー体験を徹底議論
このような問題意識の下、同社が提供しているのが、日本初のIoT開発に特化した合宿プログラム「IoT OKINAWA Boot Camp(F.E.E.L.)」だ。
IoTサービスの企画・検討を、2泊3日から1週間という短期間で実施する合宿プログラムで、同社の考えるユーザー中心のデザイン思考が最大限盛り込まれている。「規模の大きな企業だと、IoTサービスの概念実証(PoC:Proof of Concept)や企画検討に半年もかかるケースがあるが、これを合宿形式で集中的に実施する」(同氏)。
IoTサービスを検討している企業の事業責任者や、ユーザーに日々接している担当者などが集まり、膝を突き合わせて議論する(図5)。合宿のコーディネートは、製品開発やサービス開発に造詣が深いレキサスの社員が務め、ハードウェアやファームウェア、UX/Webデザイン、クラウド、事業計画といった各分野の専門家が必要に応じて参加する。
この合宿プログラムには、3つのキーワードがある。1つ目は前述の通り「ユーザー中心のデザイン思考」。2つ目は、参加企業と同社が1つのチームとして連携する「共創」。3つ目は「非日常」である。
ユーザー中心のデザイン思考を具現化するために、「リーンキャンバス」や「カスタマージャーニーマップ」「フックモデル」「デザインシナリオ」「ペルソナ」といったフレームワークを活用しながら、ユーザーの思考を深掘りしていく。
「IoTのサービスを検討するには、まずユーザーの感情の起伏を知る必要がある。ユーザーの感情の起伏の“旅”を、最後に一番高いところに運んでいけるようサービスをデザインしていく。問われるのは、どんなに面倒でも使い手となるユーザーになり切って考え尽くせるかどうか? という点だ」(同氏)。
沖縄という非日常空間が新しい発想を促す
沖縄という場所にもこだわりがある。同社は国内外のさまざまな拠点でのリモートワークを推進するなど「場所にとらわれない働き方」を推進してきたが、あえて日常から場所を変えて合宿するという「場所を問う働き方」も、サービス開発の成果を上げるには不可欠だと考えている。
「日常の延長線で既存業務が頭に残ったまま新しいサービスを検討するのではなく、高い集中力の下で新しい発想を出しやすくするため、『沖縄』という非日常空間にこだわっている」(同氏)。
2016年7月に合宿プログラムの提供を開始したばかりだが、既に8件程度の実績があるという。国内の複数の大手企業が合宿を実施するなど、反響は大きいようだ。
今回話を伺った常盤木氏は、エンタープライズIT分野のエバンジェリストとして著名な人物(図6)。レキサスに入社する前は、SAPで首席エバンジェリストを務めていた。沖縄に移住してきたのは2014年のこと。レキサスの代表である比屋根氏や、「個」にフォーカスする社風に魅力を感じたのだという。
同社のみならず、同社と協業したさまざまな企業から、どのような新しいIoTサービスが世の中に出てくるのか楽しみだ。
筆者からのメッセージ:「地方×モノづくり」で課題解決、魅力発掘!
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や、魅力発掘の後押しとなる――。このような考えの下、「沖縄モノづくり新時代」と題した本連載では、沖縄という地方を例に、モノづくり/エンジニアリング技術を活用し、地方が抱えるさまざまな課題の解決に取り組む事例や、地方の魅力を掘り起こしていく事例に焦点を当てていく。
漁業や農業、林業といった第一次産業のみならず、観光・サービス業などさまざまな領域に深く関わり、地方の活性化を下支えするモノづくり/エンジニアリングの話題に注目してほしい。
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沖縄モノづくり新時代
エンジニアリングやモノづくり分野の技術進化が、今まで以上に地方の課題解決や魅力発掘の後押しとなる。本連載の主役は、かつて“製造業不毛の地”といわれていた沖縄だ。
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