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約35%の省エネを実現した新型エスカレーター、回生電力の有効利用も三菱電機 Sシリーズ

三菱電機は、インバーターの標準搭載や照明のLED化などで約35%の省エネを実現した新型エスカレーター「Sシリーズ」の販売開始を発表した。

» 2016年08月09日 10時00分 公開

 子供から高齢者まで幅広い年齢層が利用するエスカレーターへの安全性のニーズはますます高まっている。また、環境への配慮からさらなる省エネも課題だ。これらの要求に応えるため、三菱電機は安全機能の充実により乗車時の安全性を向上するとともに、インバーターの標準搭載や照明のLED化などで約35%の省エネを実現した新製品「Sシリーズ」2016年7月27日から発売する(図1)。

新製品の「Sシリーズ」出典:三菱電機 図1 新製品の「Sシリーズ」出典:三菱電機

 Sシリーズはスローストップ機能(標準装備仕様)の採用で、安全装置作動による緊急停止時に緩やかに減速・停止し、利用者のつまずきや転倒リスクを低減する(停電時や一部の安全装置動作時は除く)。また、エスカレーターのステップ横のスカートガードに沿ってブラシを装着。利用者がステップ端部に乗りにくくすることで、衣類やゴム製サンダルなどがステップとスカートガードの間への巻き込まれることを防ぐ。さらに、くし(乗降部)とステップの間に物が挟み込まれ、くしが持ち上げられた時に、安全装置が作動しエスカレーターを停止させる(コムセーフティ、標準装備仕様)。大規模地震が発生した時などは、エスカレーター支持部分(建築はりなどに架かっている部分)に異常がないか確認できるよう、支持部分の床板(点検床板)を開閉可能にした。

 省エネ性に関しては、モーターの負荷に応じて電流・電圧を最適に制御(最適励磁制御)することにより、特に軽負荷運転時のモーター効率を向上した。また、センサーで利用者の混雑度を検出し、利用者数に応じた速度コントロールを行う。利用者が少ない場合には分速25mで運転し、利用者が増えると分速30mに緩やかに加速、利用者がいなくなると分速20mへ緩やかに減速する省エネ運転モードを採用した。回生コンバーターを搭載し、下り運転時、利用者が多い場合にモーターから発生する回生電力を建物内の電気設備で有効利用する。

 この他スカートガード照明・欄干照明、コムライト・ステップ下照明(すべてオプション仕様)には LED 照明を採用している。これにより照明電源の消費電力を約60%削減するとともに長寿命化を実現した。

 Sシリーズにはガラスタイプ(欄干照明あり)とパネルタイプの2タイプがあり、価格は約2600万円。同社では日本国内で年間500台の販売を目指す。


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