TechFactory通信 編集後記
エンジンから個性がなくなる時代
自動車に環境対策や効率化が大切なことは分かっていますが、「個性」も残って欲しいと思うのです。
スズキが軽自動車「ジムニー」のフルモデルチェンジを正式発表しました。詳細はオフィシャルサイトをご覧頂くとして、個人的には2ストローク(2サイクル)エンジンを搭載していた2代目が印象に残っています。
2代目が走っていた1980年代後半、2ストロークエンジンはバイクでこそまだ一般的でしたが、自動車では採用が見送られつつあり、2代目ジムニーは排気音だけでも異彩を放つ存在でした。
2ストロークエンジンは4ストロークエンジンに比べて構造上、部品が少ないため小型軽量であり、同排気量ならば高い出力を得ることも容易でした。「小さな本格四駆」をうたうジムニーが2ストロークエンジンを採用していたのは、当時、理にかなった判断だったのでしょう。
しかし、燃費や環境性能の面では4ストロークエンジンに分があることから徐々に2ストロークエンジンは自動車に採用されなくなり、ジムニーも4ストロークエンジンを搭載することになります。並行してキャブレターもフューエルインジェクションに変更され、「2ストでキャブ」というバイクのような自動車は姿を消しました。
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自動車において燃費向上や環境対応は行われなくてはならないものです。ですが、自動車には自身の楽しみや所有欲を満たす存在という価値もあります。自動運転技術が一般化すると自動車は移動サービスを提供する「サービスカー」と、自身が楽しみのために所有する「オーナーカー」に分かれるという論がありますが、後者においては多様性が提供されて欲しいと思うのです。
ジムニーを例に出すと「たかがエンジンの形式」なのかもしれません。ですが、エンジンは自動車の中核を成す部品であり「スカイラインの直6」「スバルの水平対向」「マツダのロータリー」など、一部においてはアイデンティティーともいえる存在です。
繰り返しますが燃費向上や環境対応は行われなくてはなりません。ですが、その対応の中で効率化だけを進めていくと、最終的には「排気量が違うだけで構造が同じ」エンジンがさまざまな自動車の中核に位置することになるかもしれません。これが考えすぎであることは分かっていますが、電気自動車やハイブリッドカーの進化と普及を目の当たりにしていると、そんなことを想像してしまいます。
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TechFactory通信 編集後記
「モノづくり総合版 TechFactory通信」に掲載された、TechFactory担当者による編集後記の転載記事一覧です。
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