エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回はこの5月に活発となったWi-Fi 7の動き、パワー半導体向けのFabが拡充している話題、CXL 3.0がロードマップに出現した件などをお届けする。
5月でちょっと大きなイベントとしてはBroadcomによるVMWare買収があるが、本件はこちらで書いてしまったので、その他の話をいくつかご紹介したい。
2022年1月19日、台湾MediaTekは恐らくIEEE P802.11be Draft 1.0に基づいたと思われる試作チップの動作デモを特定顧客向けに行ったことを発表した。もっともこの時点では試作チップだったのか、それとも試作チップのIPを実装したFPGAで試したのかは定かではないのだが、5月23日にアクセスポイント向けとクライアント向けのチップセットをそれぞれ発表したあたりは、もう1月のデモの時点でかなり完成度は高かったと思われる。これに先立つ5月4日にQualcommもWi-Fi 7のアクセスポイントおよびクライアント向けチップセットを発表している。既に両社のチップのサンプル出荷は開始されており、現在はさまざまな機器ベンダーが製品試作を始めていると思われる。
実をいうとWi-Fi 7ことIEEE 802.11beの仕様策定作業は現状ちょっとだけ遅れていた。当初2022年3月に行われる予定だったDraft 2.0のLetter Ballotは5月に行われた。ただ続くDraft 3.0のLetter Ballotは2022年11月の予定から動いておらず、標準化完了の時期も2024年5月から変化はない。まだDraft 2.0の承認はなされていないが、ファームウェアの改定だけでは対応できないような大きな技術的な変更が今後起きる見込みは薄い(※)。QualcommにしてもMediaTekにしても、そのあたりの見切りが付いたことで今回チップセットの発表に踏み切った事になるという事は、今年の年末商戦には早くもWi-Fi 7を名乗るアクセスポイントとかクライアント向けカードが登場しそうだ。
※【訂正:2022年7月7日21時15分 初出時「Draft 2.0が投票の結果承認された」としていましたが誤りがありました。お詫びして訂正いたします】
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