大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Gelsinger氏の復帰で期待が高まる“古き良きIntelへの回帰”(1/3 ページ)
エレクトロニクス/組み込み業界の動向をウオッチする連載。今回は、2021年1月に古巣のIntelへCEOとして復帰すると報じられたPat Gelsinger氏についてお届けする。
2021年1月の最大のニュースは、やはりPat Gelsinger氏のIntel復帰であろう。それも現CEOであるBob Swan氏の後任のCEOとして入るカタチだ。このニュース、まず速報が上がった後でEETimes Japanに解説記事(解説記事1、解説記事2):掲載されており、これらをお読みの方も多いと思う。実際、解説記事2を執筆したJunko Yoshida氏は
もし筆者がIntelの社員だったとしたら、この記事を読んで深く感動し、「ぜひともあの輝かしい日々を取り戻してほしい。あなたを信じてついて行きたい」と思うだろう。
と書かれたが、実際にIntelの中の人にちょっと話を聞いた限りでは、Gelsinger氏の復帰を喜ぶ声がかなりあるらしい。
2020年8月の連載記事でも書いたが、Intelのこのところの不調はTMG(Technology and Manufacturing Group)がまともな製品を出せない事に起因する部分が少なくない。そしてそのTMGの独走を、前CEOのBrian Krzanich氏も現CEOであるSwan氏も止める事ができなかった、と社内的には見られているし、まあ実際それは客観的に見てもそうであろう。このあたりをGelsinger氏が変えてくれるのでは、と期待しているわけだ。
古き良きIntelへの回帰
ついでに言えば、こうした人はしばしば「古き良きIntel」を懐かしく思っている。つまり故Andy Grove氏とか、その後任のCraig Barrett氏の時代のIntelである。そのIntelは続く故Paul Otellini氏の時代にちょっとだけ変な方向に行き、それを決定的にねじ曲げたのが次のKrzanich氏の時代である。そしてSwan氏はそれを戻そうと努力はしたものの、力及ばずといったところだろうか。そしてGensinger氏は、Grove氏から直接経営を学んだ、いわば最後の世代である。しかもIntelから離れていた時期にはEMCとVMWareの経営に携わり、特にVMWareでは入社直後の46.1億ドルの売上と7.45億ドルの純利益(2012年12月末の数字)を、7年後には108.1億ドルの売上と64.1億ドルの純利益(2020年1月末の数字)にまで押し上げており、経営者として十分に経験を積んでいる事が明らかである。Gelsinger氏のCEO復帰に「古き良きIntelへの回帰」を重ねる人が少なからず居るのも無理ないところだろう。
もっともKrzanich氏はともかく、Swan氏は決して能力に欠けていたわけではない。そもそもSwan氏は前任のStacy Smith氏のCFO退任(Intelそのものの辞任は2018年)に伴い、2016年9月にCFOとして招聘(へい)された。その前はプライベート・エクイティのGeneral AtlanticのCEO兼会長、その前はeBayのCFOだったし、さらにその前はEDSやGEなどで、やはりCFO/COO/CEO職を歴任しており、その意味では腕利きのビジネスマンであったことは間違いない。そしてKrzanich氏の退任に伴い暫定CEOに昇格するが、こちらの記事にもちらっとあるように、必ずしもCEO職を望んだわけではなく、しかしながら後継者がいないということもあって2019年1月に正式にCEOになっている。ただ、Swan氏がCEOになった2018年末の売上は708.5億ドルだったのが、2020年末にはこれを778.7億ドルまで増やしており、また10/7nmプロセスの不調に伴うシェア減少にも拘わらず営業利益は2018年末の233.2億ドルを2020年末には250.8億ドルと増やすなどしており、少なくともきちんとIntelを運営してきたことは間違いない。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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