大原雄介のエレ・組み込みプレイバック
Gelsinger氏の復帰で期待が高まる“古き良きIntelへの回帰”(2/3 ページ)
ただ厳しい言い方をすれば、Intelクラスの会社ともなると、こうした日々のオペレーションは本来COOのやるべき仕事であり、CEOに求められるのはその先の、向こう5年とか10年の方向性を決める事であるが、氏はこれを決める事ができなかった。2020年9月に、McKinsey & CompanyからSafroadu Yeboah-Amankwah氏を引き抜いてSVP兼Chief Strategy Officerに任命したというあたりからも、Swan氏がIntelの長期的な戦略を立てる事に困難を感じていたことが分かる。Swan氏も別にCEO職が務まらない訳ではないが、Intelの立て直しは流石に手に余ったというところであろう。
さて、話をそのGelsinger氏に移したい。既にGelsinger氏は全従業員に向けたメッセージを公開しているが、それとは別にGelsinger氏が最初にIntelを退職するまでの間、氏の部下としてCPUの開発に携わり、その後もSoCの開発などを行った後に2014年に退社、直近ではSiFiveのSVPとしてGM, Engineeringの職にあったSunil Shenoy氏を呼び戻している。恐らく今後も、昔のチームを呼び寄せる人事がしばらく続くことになると思う。
さてそのGelsinger氏の最初の仕事の一つは、Product Roadmapの再定義ということになるだろう。2021年1月21日に行われた2020年第4四半期および2020年通期の決算発表のConference CallにGelsinger氏も参加しており、ここで冒頭のあいさつの中で「7nmプロセスは順調に推移しており、2023年にはIntel内製の製品の多くは7nmプロセスを利用して製造できると確信している」としながらも、これに続けて「同時にIntelのポートフォリオを考えた場合、特定の技術あるいは製品については外部ファウンダリーの利用を拡大していくことになるだろう。これに関してはこれまでの分析結果と今後のパスを検討の上で、あらためて2023年のロードマップの詳細を明らかにしたい」と付け加える事も忘れなかった。
実際のところ、Gelsinger氏がCEOに就任しても、直近製品の動向などは変化がないだろう。そもそもGelsinger氏が2023年のRoadmapに言及するというのは、要するに2021/2022年のProduct Roadmapにはもう手が入れられないという裏返しである。これも当たり前の話であって、昨今のProduct Pipelineは猛烈に長くなっている。そもそもCPUでも何でも、特に先端プロセスを使う場合には、シリコンウェハーから最終製品ができるまでのリードタイムは数カ月(ほぼ半年近く)かかる。もちろんちょっとした変更(動作周波数をちょっといじるとか、一部の機能の有効化/無効化など)であれば、前工程(ウェハからダイを作るまでの工程)ではなく後工程(ダイを切り出してパッケージングし、テスト後梱包までの工程)で対応できるが、これはあくまでも小変更レベルである。加えて言えば、CPUだけ出荷しても仕方ない訳で、これに対応するチップセットも用意する必要があるし、当然動作検証も行わなくてはいけない。場合によっては新しいソフトウェアを用意する必要もある。さらに言えば、デスクトップにしてもモバイルにしてもサーバにしても、最終製品を構築するのはIntel自身ではなくOEMメーカーであるから、こうしたOEMメーカーも新製品に対応するための作業が必要になる。要するに2023年というのはかなりギリギリのタイミングなのであって、もう2021/2022年に関しては、これをいじる事ができない(いじったりしたら、2年あまり何も製品が出せない事になりかねない)。
必然的に、少なくとも2023年までは既存の製品ラインのまま突き進まざるを得ない。今年はIce LakeをServerに投入するとともにSapphire Rapidsを年内に無事Launchできるように努力する事、Desktop向けにRocket Lakeを投入するとともに、Mobile向けの次の製品であるAlder Lakeを無事に出荷できる様に務める事、およびX^eベースのGPUやFPGAの出荷を予定通り行えるように努力すること、などが当面の仕事となる。
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これを読めばここ1カ月のエレクトロニクス/組み込み業界の動きが分かる連載。注目すべき市場動向と注目すべき製品を取り上げます。
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